2024年4月14日までの黒潮「短期」予測 (2024年3月28日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは4月14日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した3月25日・4月4日・4月14日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

伊豆半島付近と房総半島付近では黒潮がやや離れています(図1 B, C)今後、接岸すると予測しています(図2~3) 。それにともない、暖水のBからの西への分岐が強まりそうです 。

九州の東にあった小蛇行が東に移動したことで、黒潮が四国から大きく離れています(図1, D) 。一部の暖水が四国沿岸に分岐しています小蛇行の動きを受けて、黒潮蛇行はいびつな形になっています(図1~3, 図5も参照) 。小蛇行が東に移動した後は、黒潮が四国にやや近づくと予測されています(図1~3, E, F) 。

図4は3月25日午前9時から4月14日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年3月25日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年4月4日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年4月14日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年3月25日午前9時から4月14日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: いびつな黒潮流路

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は3月27日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推測値です。

黒潮本来の蛇行(a)に、九州東にあった小蛇行が東に動いて加わったことで(b)、大蛇行が2つあるような、いびつな黒潮流路になっています。

もう一つ気になる点は、黒潮(黒潮続流)が東北まで極端北上するような形であったものが(親潮ウォッチ参照)、根本(c)でちぎれたような形になっていることです。今後どのように推移するか注目されます。

 

Fig5

図5:3月27日の1日平均の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流れの推測値(矢印)(①で指定)。色の幅は10から23℃に設定した(②で指定)

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。