2024年5月6日までの黒潮「短期」予測 (2024年6月17日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは5月6日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した4月16日・4月26日・5月6日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A, D)が続いています(長期予測も参照)。

九州の東にあった小蛇行(D)が東に移動したことで、大蛇行が2つ(A, D)あるようないびつな流路になっていましたが、Aの部分が渦としてちぎれたようです(図5,6も参照)。今後、黒潮大蛇行らしい流路になっていくと予測されています(図2~3) 。

黒潮大蛇行らしい流路に落ち着くまで、東海から関東沿岸では黒潮が近づいたり離れたり流れの変化が大きいことが予想されます(B, C、図1~3) 。

黒潮が四国から大きく離れています(図1, E) 。一部の暖水が四国沿岸に分岐しています今後、黒潮が四国にやや近づくと予測されています(図2~3, F) 。

夏に向けて全体的に水温が上がっていきます。

図4は4月16日午前9時から5月6日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年4月16日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年4月26日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年5月6日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年4月16日午前9時から5月6日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 黒潮流路からの渦のちぎれ

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は4月10日と17日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値です。

水温が最も高いところが黒潮だと考えられ、矢印付きの線を結んでいます。4月10日の黒潮流路は、蛇行が2つある様な形をしていました(a, b) 。

しかし、4月17日にはaの部分が孤立した冷水渦になっており、黒潮流路から渦がちぎれたようです。現在は蛇行部が一つ(b)の大蛇行になっています。

Fig5

図5:4月10日一日平均の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)。色の幅は15から23℃に設定した(②で指定)

 

 

Fig5

図6:図5に同じ。ただし4月17日。



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。