2024年6月18日までの黒潮「短期」予測 (2024年5月31日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは6月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月29日・6月8日・6月18日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。

A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが大きくなると予測しています(図1~3) 。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づき(B-C) 、四国・足摺岬でも黒潮が近くを流れそうです(E) (図1~3) 。室戸岬付近には黒潮から分岐した暖水が近づき(図1)、室戸岬と潮岬の間は時計回りの循環になっているようです(図5も参照)。

夏に向けて全体的に水温が上がっていきます。

図4は5月29日午前9時から6月18日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年5月29日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年6月8日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年6月18日午前9時の予測値。


図4: 2024年5月29日午前9時から6月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 四国付近の黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は5月29日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる海面流速推定値です。

足摺岬付近を黒潮がながれています。室戸岬からは黒潮が遠ざかっていますが、分岐流として暖水が伸びています。水温と流れから室戸岬と潮岬の間は時計回りの循環になっていることが示唆されます。

Fig5

図5:5月29日午後4時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる海面流速の推推定値(矢印)。色の幅は19から28℃に設定した(②で指定)

 

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。