2024年9月11日までの黒潮「短期」予測 (2024年8月23日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは9月11日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した8月22日・9月1日・9月11日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。

A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが強化された後(図1~2)、緩むと予測しています(図3) 。黒潮が八丈島()に近づくかもしれません(図3)。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づいていたのが(B-C, 図1~2) 、離れそうです(図3)。房総半島と黒潮の間に水温の冷たい海域ができています(図1 C)。

四国・足摺岬では黒潮が室戸岬付近を流れていますが(図1~2, D)、離れて紀伊半島へと接岸が移って行くと予測しています(図3) 。九州の南から東にかけて、黒潮が九州から離れ(E)、それが継続しそうです。台風7号が

夏で全体的に水温が高いですが、台風7号が通過した海域は水温が下がっています(図1F, 図6も参照)。台風10号の影響によって場所によっては水温が下がるでしょう(図2G、図4も参照)。秋に近づくにつれて全体的に温度がさがります(図3)。

図4は8月22日午前9時から9月11日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年8月22日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年9月1日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年9月11日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年8月22日午前9時から9月11日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 続・台風の通過する海

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は先週と同じく、人工衛星「ひまわり」で観測された8月13日の海面水温です。その後、台風7号が北上し、台風7号が通過した海域では、8月22日の図6のように水温が低下しました。

今度は、台風10号が日本南岸に発生しており、日本に近づくと予測されています。台風が通過する海域はまだ水温が高く、台風が強い勢力で日本に近づくかもしれません。台風に関しては最新の情報を入手して注意してください。

Fig5

図5:8月13日一日平均の人工衛星観測「ひまわり」観測海面水温(色)(①で指定)。色の幅は24から31℃に設定した(②で指定)。

Fig5

図6:同じく8月22日。

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。