毎月月末は過去1ヶ月の予測を検証する予定です。今回は8月28日号の8月22日から9月19日までの予測を検証します。
図1上段は、8月22日から予測した9月19日の黒潮の状態です。8月28日号では、小蛇行2(今号の図1の離岸傾向dに対応)のため、黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路がさらに発達すると予測していました(図1上段)。その予測は現実とよく合っていました(図1下段)。その他の細かい離岸と接岸傾向も、その大きさがやや合っていない場所もあったものの(接岸傾向cや離岸傾向f)、位置やタイミングがよく合っていました。
現在、九州南東に離岸傾向hが存在していますが、これは8月28日号で小蛇行3と呼んでいたものです。最近の予測では、伊豆諸島付近の離岸流路を接岸流路に変えるような大きな発達が予測されてないことから、先週号から小蛇行と呼ぶのをやめています(※1)。小蛇行が大きく発達するときには、発達を助けるような渦が存在することが多いことを4月17日号で解説しています。現在はそのような渦が存在しないことが、離岸傾向hがあまり発達しない一因だと考えられます。
図2は8月22日から9月19日までの予測値(上段)と現実(下段)の比較をアニメーションにしたものです。

図1: [上段]8月22日から予測した9月19日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した9月19日の実際。アルファベットa,b,c,..は接岸・離岸傾向の波(今週号の現状・予測参照)。
図2: 2015年8月22日から9月19日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。ク リックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
※1 離岸傾向と小蛇行に厳密な定義の違いが存在するわけではありませんが、黒潮親潮ウォッチでは、黒潮流路が大きく変化させるほど発達する離岸傾向のことを、解説で特に注目するために小蛇行と呼ぶことにします。