親潮自体は平年より冷たいですが、暖水渦にはばまれて南下は限定的です。 |
見通し(長期予測)
海洋予測モデルJCOPE3Mで、約2か月先までの予測を行っています。
図1左はJCOPE3Mによる水深10メートルでの、9月21日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。右が同じ日の平年の値です[1]。
黒潮続流は平年よりも高い緯度を流れています。
親潮自体は平年よりも強く冷たくなっています。しかし、黒潮続流からちぎれた北上した時計回りの暖水渦AとBの存在のため、平年に比べて親潮が南下しにくくなっています。
津軽暖流由来の暖水渦Cも勢力が強いです。
そのため千島諸島周辺は水温が冷たいですが、北海道南岸から東北太平洋側沿岸では水温が高くなっています。。
今後の予測(図2~3)でも、暖水渦の影響が続くことから、親潮自体は勢いがあり冷たいものの、親潮の南下は限定されそうです。黒潮続流も平年より高めの緯度が続くと予測しています。
図4は2025年9月21日から11月22日までの予測をアニメーションにしたものです。
図4: 図1に対応する2025年9月21日から11月22日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
短期予測
長期予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)による20日予測のアニメーションを、YouTubeに1週間に一度の間隔で掲載しています。親潮ウォッチの更新は月に一回ですが、一週間に一度の予測のアニメーションも参考にしてください。
今月のハイライト: 冷たい親潮
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (解説は「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」) 。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T 1ks 約1kmやJCOPE-T DA 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。
図5は、去年(左)と今年(右)の9月20日の「ひまわり」観測の海面水温の比較です。去年より今年の方が親潮で水温が低くなっています。
暖水渦は去年に比べて弱くなっています。しかし、それでも親潮の南下は制限されています。
- [1]JCOPE3Mは平年のデータが無いため、JCOPE2Mの1993年から2020年の平均で平年の値を計算しています。↩

黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。