続・親潮が記録的なあたたかさ(親潮ウォッチ2015/11)

図1は、10月31日の海面水温が平年より高いか、低いか、を見たものです。9月4日号「親潮が記録的なあたたかさ」に書いたとおり、今年は春から北海道南東に平年より温度の高い(赤っぽい色)暖水(A)が居座っており、10月になってもそれが続いています。先月に比べて、親潮は北東方向に後退し、親潮第一分枝・第二分枝のパターン(7月3日解説)が明瞭にみられません。

9月4日号で紹介した、親潮の面積(水深100メートルの水温5度以下の水の広がり, 赤線)で見ても(図2)、平年の季節変化(黒細線)のはるか下、通常の範囲(灰色の範囲)を超えてさらに小さい面積になっています。親潮面積が小さいということは、冷たい水(5度以下)の範囲が狭い、すなわち、親潮域があたたかいことを意味します。9月4日号では、親潮面積の今年(2015年)の8月平均が、JCOPE2のデータが利用できる1993年以降最小であることをお知らせしましたが、9月平均(図3)も、10月平均(図4)も過去最少でした。

今年はサンマの記録的な不漁が伝えられています。資源の減少、荒天による出漁の減少に加えて、このような親潮の状態も関係しているのかもしれません。

Fig1

図1: JCOPE2による10月31日の海面での解析値。矢印は流れ(メートル毎秒)、色と等値線は 水温の平年(1993年から2012年の平均)との差(ºC)。

 

Fig3

図2: JCOPE2再解析データから計算した親潮面積の時系列(単位104 km2)。赤線が2014年から現在までの時系列。黒細線は平年(1993-2012年)の季節変化。灰色の範囲は平均からプラスマイナス標準偏差の範囲。

 

Fig3

図3: 親潮の9月平均面積の各年の比較。単位は104 km2

 

Fig4

図4: 親潮の10月平均面積の各年の比較。単位は104 km2


親潮の現状は月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。
親潮の他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。
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