黒潮の位置は天気にも影響を与えるの?

中村らの2012年の研究によると(鹿児島大学プレスリリース)、黒潮が直進(接岸)流路をとっている時より、日本南岸で大蛇行している時のほうが東京で雪が降る確率が高くなります(黒潮流路の分類については2015年2月6日号の解説を参照)。1968年から2007年の間に、東京の降雪回数は,大蛇行流路の時は南岸低気圧が東海沖を通過した58回の内12 回(21%)であるのに対し、直進(接岸)流路の時は25 回中 0 回(0%)であり、大きな差があります。大雪だった昨年の冬も、 典型的な黒潮大蛇行のパターンではありませんでしたが、黒潮は大きく離岸し、日本南岸には冷たい海水温が広がっていました(図1上段)。一方、今年も黒潮が離岸していますが、上の現状で述べたように小蛇行の東で沖から岸に向かう流れが生じているために、昨年ほど海水温は冷たくありません(図1下段)。このような黒潮の位置の違いが天気に与える影響については、まだ研究が始まったばかりです。

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図1: 人工衛星データから推定した2014年2月17日(上段)と2015年2月17日(下段)の海面水温。データはGHRSSTによる。