黒潮は、八丈島の北を流れる一時的な状態から、再び八丈島の南を流れる離岸流路に戻ってきています。四国・足摺岬でやや離岸、室戸岬、紀伊半島・潮岬で接岸しています。房総半島には一部東から暖水が波及していますが、基調として大きな離岸になっています。黒潮流路は、八丈島の南を流れる離岸流路が続きそうです。九州東には小蛇行が発達すると予測しています。 |
JCOPE2の改良版であるJCOPE2Mは週2回の予測を行っています。ここでは2017年3月2日から5月4日の予測を解説します。
現状
図1と図2はJCOPE2Mで計算した3月2日と3月8日の黒潮の状態です。
黒潮は一時八丈島の北を流れる接岸流路的な状態でしたが(図1、接岸傾向m[1])、八丈島の南を流れる離岸流路に戻ってきています(図2、離岸傾向n)。
四国・足摺岬から紀伊半島・潮岬にかけては小規模な接岸と離岸の繰り返しになっています。現在は、足摺岬でやや離岸(離岸傾向r)、室戸岬と潮岬で接岸(接岸傾向q)になっています(図2)。
房総半島では、東からまわりこむようにして黒潮からの暖水が一部波及していますが(接岸傾向α)、基調としては大きく離岸しています(離岸傾向β、図1,2)。
九州の南東では、黒潮が大きく離岸(小蛇行)しています。
予測
図3・図4・図5は3月15日・3月22日・5月4日の予測です。
黒潮流路は、八丈島の南を流れる離岸流路が続きそうです(図3,4)。離岸流路はさらに大きく発達する可能性があります(図5)。
房総半島での離岸基調は続きそうです(図3,4)
九州南から東岸にかけては、これから大きめの離岸(小蛇行)が発達すると予測しています(図3,4)。紀伊半島・潮岬にかけては、しばらくは接岸とやや離岸の小刻みな繰り返しが続きそうですが(図3,4)、小蛇行が下流に移動してくると大きな離岸につながる可能性があります(図5)。
図6は、3月2日から5月4日までの予測をアニメーションにしたものです。
図6: 2017年3月2日から5月4日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。
- [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字k,m,,が接岸傾向で、青字l,n,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも一部共通ですが、あらためて記号をふりなおしたところもあります)、同じアルファベット、例えば接岸傾向mが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。↩