黒潮は八丈島の北を流れる接岸流路的な状態に一時的になっています。四国・足摺岬でほぼ接岸、室戸岬でやや離岸、紀伊半島・潮岬で接岸しています。房総半島には東からまわりこむようにして黒潮から暖水が近づいています。黒潮流路は、再び八丈島の南を流れる離岸流路が発達しそうです。九州東には小蛇行が発達する可能性があります。 |
JCOPE2の改良版であるJCOPE2Mは週2回の予測を行っています。ここでは2017年2月24日から4月27日の予測を解説します。
現状
図1と図2はJCOPE2Mで計算した2月24日と3月1日の黒潮の状態です。
黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路でしたが、前号の予測通り、接岸傾向m[1]の接近にともない、八丈島の北を流れる接岸流路的な状況になっています(図1,2)。
四国・足摺岬から紀伊半島・潮岬にかけては小規模な接岸と離岸の繰り返しになっています。現在は、足摺岬でほぼ接岸(接岸傾向q)、室戸岬でやや離岸(離岸傾向p)、潮岬で接岸(接岸傾向o)になっています(図2)。
房総半島では黒潮が離れる動きになっていますが(図1,2, 離岸傾向β)、東からまわりこむようにして、黒潮からの暖水が近づいています(接岸傾向kまたはα)。
九州の南東では、黒潮が大きく離岸しています(離岸傾向r)。

図1: 観測値を取り入れて作成した2月24日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸(●)が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。
予測
図3・図4・図5は3月8日・3月15日・4月27日の予測です。
現在の接岸流路的な状況は一時的で、八丈島の南を流れる離岸流路に戻りそうです(図3,4)。離岸流路はさらに大きく発達する可能性があります(図5)。
房総半島への東からの暖水波及(接岸傾向α)は次第に弱まりそうです。
紀伊半島・潮岬にかけては、接岸とやや離岸の小刻みな繰り返しが続きそうです(図3,4)。
九州南から東岸にかけては、これから大きめの離岸(小蛇行)が発達する可能性があります(図3,4,5)。
図6は、2月24日から4月27日までの予測をアニメーションにしたものです。
図6: 2017年2月24日から4月27日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。
- [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字k,m,,が接岸傾向で、青字l,n,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通です)、同じアルファベット、例えば接岸傾向mが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。↩