黒潮は八丈島に近づいています。黒潮から東海・関東沖に暖水が入りやすい状況になっています。小蛇行の影響で四国・足摺岬で離岸、室戸岬で離岸しつつあります。紀伊半島・潮岬でほぼ接岸しています。房総半島では黒潮が近づいていましたが、離れつつあります。小蛇行による離岸の影響が四国から紀伊半島沿岸にあらわれるでしょう。黒潮は、しばらく八丈島付近を流れますが、再び離岸流路が発達しそうです。 |
JCOPE2の改良版であるJCOPE2M[1]は週2回の予測を行っています。ここでは2017年5月5日から7月6日の予測を解説します。
現状
図1と図2はJCOPE2Mで計算した5月5日と5月10日の黒潮の状態です。
黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路でしたが、接岸傾向s[2]のため八丈島に近づいています。東海・関東沖に暖水が入りやすい状況になっています。
九州から四国沖では黒潮が大きく離岸(小蛇行)しています(図1,2, 離岸傾向v)。小蛇行接近のため足摺岬で離岸しています。室戸岬でも離岸しつつあります。潮岬では、ほぼ接岸(接岸傾向u)になっています(図2)。
房総半島沖では黒潮が近づいていましたが(図1, 接岸傾向o)、離れつつあります(図2、離岸傾向p)。

図1: 観測値を取り入れて作成した5月5日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸(●)が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。
予測
図3・図4・図5は5月17日・5月24日・7月6日の予測です。
接岸傾向sにより、黒潮はしばらく八丈島付近を流れそうです(図3,4)。接岸傾向sによる暖水の進入は、東海・関東沿岸に影響をあたえそうです。その後、八丈島の南を流れる離岸流路が再び発達すると予測しています(図5)。離岸は大きくなりそうです。
伊豆諸島東から房総半島沖の黒潮は、蛇行が大きくなりそうです(図3,4,5)。
大きめの離岸(小蛇行)がしだいに黒潮下流に移動してくると予測しています(図3,4,5)。小蛇行が下流に移動してくると、沿岸域では大きな離岸につながります。
図6は、5月5日から7月6日までの予測をアニメーションにしたものです。
図6: 2017年5月5日から7月10日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
- [1]JCOPE2Mに関する論文が出版されました。
Miyazawa Y, Varlamov SM, Miyama T, Guo X, Hihara T, Kiyomatsu K, Kachi M, Kurihara Y, Murakami H (2017) Assimilation of high-resolution sea surface temperature data into an operational nowcast/forecast system around Japan using a multi-scale three-dimensional variational scheme Ocean Dynamics doi:10.1007/s10236-017-1056-1
↩ - [2]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字o,q,が接岸傾向で、青字n,p,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通です。)、同じアルファベット、例えば接岸傾向sが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。↩
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。