毎月の月末は、過去1カ月の予測を検証する予定です[1]。今回は2017年6月30日号の、6月26日から予測した7月24日までの結果を検証します。 |
予測と実際
図1上段は、6月26日から予測した7月24日の黒潮の状態です。図1下段は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる7月24日の状態です。図2は、同じく、予測値(上段)と実際(下段)の比較を、6月26日から7月24日までのアニメーションにしたものです。
6月30日号の予測のポイントの一つは、東海沖の黒潮の蛇行が比較的大きな規模を保ったまま東に移動し、八丈島の南を流れるということでした(図1上段)。その予測は当たっていました(図1下段)。ただ、予測では蛇行部分が東に大きく広がり、房総半島沖で大きな離岸になると予測していましたが(図1上段)、実際には蛇行は東西にコンパクトにまとまり、房総半島沖での離岸はそれほどは大きくなりませんでした(図1下段)。
6月30日号の予測のもうひとつポイントは、九州東岸の小蛇行(小蛇行2)が黒潮下流(東)への移動をはじめるというものでした。実際に小蛇行は東へ移動を始め、6月末には接岸していた四国・室戸岬で離岸したという点で、予測通りでした。惜しいのは、予測の小蛇行の移動速度がやや速すぎたようで、7月末には紀伊半島・潮岬でも離岸すると予測していましたが(図1上段)、実際にはまだ離岸していません(図1下段)。
予測と実際で、違っていた所と、合っていたところは、図2のアニメーションもご確認ください。黒潮の蛇行の行方については、毎週の黒潮予測記事でも、気象衛星「ひまわり8号」が観測する海面水温と比較しながら検証しています。
図2: 2017年6月26日から7月24日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
- [1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、1ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため1ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で1ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば1週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。↩