最近の水温の状況
先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。
図1は、11月7日と12月12日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく11月7日と12月12日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。
日本海北部は寒い天気が続いたために海面の温度は平年より低くなりましたが、日本海南部の水温が平年よりかなり高くなっています(図1b, A)。水深100mでも見られることから海流の影響がありそうです(図2b, A)。これについては次の節でみます。
北海道から東北の東方沖で見られる平年より特に高い温度(B)は、海面(図1)だけでなく水深100m(図2)でも見られることから、海流の影響を受けていることがわかります。暖水渦が弱まるか (親潮ウォッチ2019/11)で解説したように、黒潮からの暖水渦の影響です。暖水渦の間をぬけて冷水渦の形で親潮の水が入っているところでは平年より冷たい水も見られます(C)。
黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦があります(図1b D)。海面下ではよりはっきりと見えます(図2b D)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(図1,2 E)。
今後の日本周辺の水温については、姉妹サイトの「季節ウォッチ」も参考にしてください。
日本海南部の温度が高い
上で見たように、日本海南部の温度が平年よりもかなり高くなっています。日本海の水温が高いと日本海側の雪が増える可能性があり(「対馬暖流が強く大雪?」参照)、気になるところです。特に朝鮮半島の東岸東岸沿い(図1または図2の点線枠)が温度が高くなっています。
図3は図1の点線枠の11月平均の海面水温の1993年からの変化を見た図です。2019年11月の値は過去最高になっています(赤丸)。
図4は、海面での水温と流れを、2018年と2019年11月で比較しています。2019年のほうが朝鮮半島沿いに対馬暖流が北上しており、そのために水温が高くなっています。
- [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。↩