地球環境部門 地球表層システム研究センター
Prabir K. Patra 上席研究員
2025年10月29日に東京會舘にて開催された「ブループラネット賞」授賞式にGlobal Carbon Project(GCP)関係者として、羽島 知洋 主任研究員とともに出席いたしました。本賞は旭硝子財団主催の、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織に対しその業績を称える賞であり、本年はGCP議長であるRobert B. Jackson 教授(スタンフォード大学)が、自然生態系および化石燃料由来の温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)のバランスを定量化した研究成果により受賞されました。心よりお祝い申し上げます。

本年の受賞者であるJackson 教授は、2017年よりGCPの議長を務めておられ、温室効果ガス排出量の監視および削減に向けた国際的な取り組みを主導されております。GCPエグゼクティブディレクターのJosep Canadell 博士(オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO))およびGCP SSCメンバーである私も、GCPに関連する活動が評価されたことから、授賞式にご招待いただきました。
今回の受賞は、私たちがGCPのもとで長年取り組んできた研究活動の意義が改めて認められたものと受け止めております。2009年よりAPNプロジェクト(ARCP2011-11NMY-Patra/Canadell)を通じてGCPに参画し、全球の地域ごとに詳細なバランスを取り扱うRECCAPプロジェクトの枠組みの中で南アジアおよび東南アジアにおけるCO₂およびCH₄の収支に取り組んでまいりました。現在は、RECCAP2やCH₄・N₂O・H₂のインバージョンなどの活動を主導し、CO₂(2018年〜)、CH₄(2016年〜)、N₂O(2020年〜)、H₂(2025年〜)の各収支に貢献しております。
また、Jackson 教授およびCanadell 博士の来日に合わせ、10月27日に国立環境研究所 GCPつくば国際オフィスおよび海洋研究開発機構(JAMSTEC)の支援のもと東京にて会議を開催し、国内研究者のほか、韓国やシンガポールからの出席者もありました。翌28日にはJAMSTEC横浜研究所にて、JAMSTEC研究者の主導による新たな研究の可能性について活発な議論を行いました。両会議には、JAMSTECからは金谷 地球表層システム研究センター長(IGAC地球大気化学国際協同研究計画・科学運営委員)、関谷 副主任研究員、Chandra 特任研究員、佐藤 特任研究員をはじめとする関係者が参加し、GCPやその他の関連活動を含むフューチャー・アースの広い視点も合わせ、今後の連携に向けた有意義な意見交換がなされました。
今後もGCPの活動を通じて、地球環境の理解と持続可能な社会の実現に向けた研究を推進してまいります。
