2022年10月30日までの黒潮「短期」予測 (2022年10月12日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは10月30日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年10月10日・10月20日・10月30日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。小規模な渦がちぎれる可能性を予測しています(図3, A’)。

東海・関東沿岸では今(図1)より、黒潮が岸に近づく予測です(図2,3 B)。

先週までの予測と異なり、四国・足摺岬、室戸岬にはあまり黒潮が近づかない予測です(C)。

図4は10月10日午前9時から10月30日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年10月10日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし10月20日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし10月30日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年10月10日午前9時から10月30日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 塩分と流れ

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

海中天気予報のサイトでは、モデルで推定した流れと塩分を重ねることで両者の関係を見ることができます。図5は、10月10日のモデル推定による海面の流れと塩分の図を重ねた図です。

沿岸は川からの水の流入があるので沖合より塩分が低くなります(A)。黒潮(B)は親潮域(C)よりも塩分が高いです(親潮は甘い?参照)。黒潮大蛇行を作る渦の中では下層から水が上がってくるために黒潮よりも塩分が高くなっています(D)。

Fig5

図5: モデルによる流れ(矢印)と塩分の図(①で指定)。塩分の範囲は28から36とした(②で指定)。