高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは12月12日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年11月22日・12月2日・12月12日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
蛇行の後、黒潮が北上し、岸に近づく位置(B)は、西に移動すると予測しています(図2,3)。熊野灘付近ではいったん離岸したあと接岸し、伊豆半島付近では離岸すると予測しています。
四国・足摺岬、室戸岬からは黒潮が離れています(C)。室戸岬の南に時計回りの暖水渦ができるという予測です(図1,2 D)。足摺岬にはやや黒潮が近づきそうです(図2,3 E)。
冬にむけて全体的に水温が低下していきます(図1~3)。
図4は11月22日午前9時から12月12日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2022年11月22日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2022年11月22日午前9時から12月12日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 流れと海面の高さ
リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は、九州東の11月23日午後6時の海洋モデルによる流れと海面高度の推定値の図です。
北半球では海流の右で海面高度が高くなるという性質があります。実際にそうなっていることが図5で確かめることができます。この性質は観測から黒潮の位置を推定するのにも使われます(「黒潮が八丈島の南を流れているのをどうやって観測で確認するの?」)。海面高度は海流の様子をしめすのに便利なことから、長期予測の記事では、海流と海面高度の図を使っています。
この性質とは別に、短期予測モデルでは潮の満ち引きも計算しているので、それによっても海面の高さが時間変化します。例えば、図5では瀬戸内海で海面の高さが凸凹しています。海中天気予報のサイトでは1時間毎の図が見られるので、潮の満ち引きによる時間変化を見ることができます。