高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 2月6日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年1月17日・1月27日・2月6日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図3)。黒潮が北上する流路はS字カーブ(B)が大きくなります。
四国・足摺岬(D)に黒潮が次第に近づく予測です。四国・室戸岬沖(E)では離岸しています。
図4は1月17日午前9時から2月6日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年1月17日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年1月17日午前9時から2月6日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: サブメソスケール現象
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は、房総半島沖の1月13日のの人工衛星「ひまわり」海面水温分布です。紀伊半島の南方に冷たい海域が広がっており、それを暖かい黒潮が迂回する黒潮大蛇行の特徴が見えています。
冷水と暖水の境目は滑らかではなく、矢印で示したような細かい構造になり、ひだ状になっています。このような細かい構造はサブメソスケール現象と呼ばれいます(「北西太平洋の微小な渦が海洋循環へ与える影響を解明~「地球シミュレータ」による高解像度シミュレーションの結果から~」参照)。サブメソスケール現象は北半球中緯度では冬に現れやすいことが知られています。サブメソスケール現象にはわかっていないことも多く、研究の最前線の対象です。
図6は同じ時刻のモデルによって再現された水温です。細かい構造を完全に観測と同じように再現するのは難しいものの、モデルでもサブメソスケール現象が見えています。