2022年の親潮をアニメーションで振り返る (親潮ウォッチ2023/1)

見通し(長期予測)

海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]で1月13日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。

暖水渦(A, B)が北海道の南東にあり、親潮が南下しにくい状況になっています。そのために例年より暖水が広がっています。近年は夏にこのような状況になることが多いです(「北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに」参照)が、今年は夏が終わっても暖水渦の影響が続いています。気象庁の診断でも現時点で親潮の影響面積は例年に比べてかなり小さく、2020年・2021年に比べても親潮の影響が弱くなっています。黒潮続流も例年より北に位置しており、水温を高くしています。

図2、3は2月24日、来年3月24日の予測です。暖水渦は次第に南に後退し、親潮が南下しやすくなりますが、暖水渦の影響が若干残り、平年よりは水温が高いと予測しています。

日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くという予測です。

図4は2023年1月13日から来年3月24日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig1

図1: JCOPE2Mによる2023年1月13日の水深100メートルでの水温(色、℃)と流れ(矢印)。赤色が5°Cより高い黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が5°Cより低い親潮の影響を受けた冷たい水温。親潮の影響を受けている範囲の指標として水温5°Cに太い赤線を引いた。青線は1993-2020年平均の水温5°C線で平年の親潮の影響範囲。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年2月24日の予測。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年3月24日の予測。

 


図4: 図1に対応する2023年1月13日から3月24日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

 

 2022年の親潮 (1) 水深100mの水温と流れ

2022年の親潮の状況を振り返るために、図5に図4に対応する昨年2022年の1月1日から12月31日までのアニメーションを作成しました。

今年の親潮は冬の間は強く南下していました(「親潮が強い」親潮ウォッチ2022/4)。しかし5月頃から暖水渦の影響を受けて親潮の南下が弱まり(「暖水渦の影響が次第に強く」親潮ウォッチ2022/5)、親潮域は平年より温度の高い状況が続きました(「記録的な高水温」親潮ウォッチ2022/12)。


図5: 図4に対応する2022年1月1日から12月31日までのJCOPE2Mによる推定値のアニメーション。

 

2020年の親潮 (2) 海面と水深100mでの水温と流れ

図6は高解像度モデルJCOPE-DAによる昨年2022年の1月1日から12月31日のアニメーションです。海面と水深100mの図をアニメーションにしています。


図8: 2022年1月1日から12月31日のJCOPE-T DAによるアニメーション(1日平均)左が海面、右が水深100m。矢印(ベクトル)が海面の流れの向きと強さ(メートル毎秒)。色が海面水温(℃)。温度の等温線も2℃ごとに白色で加えてある。水深100mの右の図には親潮の勢力の指標として水温5℃の等温線も黒太線で加えている。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


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黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号2017年2月1日号で解説しています。

  1. [1]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。