2023年7月18日までの黒潮「短期」予測 (2023年6月29日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 7月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年6月28日・7月8日・7月18日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。大蛇行は強いS字カーブを描いて北上しています(図1) 。S字カーブはしばらく強い状態が続きますが(図2) 、緩和されると予測しています(図3) 。関東沿岸から東海沿岸にかけて(B, C) 、黒潮が離れたり近づいたりと、変化が大きそうです。

四国・足摺岬(D)では近づいた黒潮が東に移動し(図1,2、図5,6も参照)、その後に再び近づくと予測しています(図3) 。

室戸岬沖(E)では流れが西向き(図1)から東向き(図2)が優勢になると予測しています。

夏にむけて全体的に水温が上昇していきます。

図4は6月28日午前9時から7月18日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年6月28日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年7月8日午前9時の予測値。

 

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年7月18日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年6月28日午前9時から7月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 足摺岬に近づく黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5と6は6月19日と6月28日の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温とモデルによる流れの推定値です。黒潮は北上して足摺岬に近づいていますが、その位置は東に移動しています。

Fig5

図5:6月19日午後8時の人工衛星「ひまわり」による観測海面水温(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)(①で指定)。色の幅は23から28℃に設定した(②で指定)。

Fig6

図6: 図5に同じ。ただし6月28日午後8時。