サクッと楽しむ

研究者オススメの一冊

【番外編】図書館の中の人に聞きました!

記事

新型コロナウイルス感染拡大防止のために外出自粛を続けている若者のみなさんへ、いま読んでほしい一冊を海と地球の営みを探究するJAMSTECの研究者たちに聞きました。
46億年の地球の歴史をたどる物語や、不確実な自然のしくみを紐解くドラマ。科学者、技術者を目指したエピソードなど海と地球を探る人々の思いを紹介します。

オススメする人

長尾 典子 さん(横浜研究所図書館・研究推進部)
おススメする人:長尾 典子 さん
(横浜研究所図書館・研究推進部)

「研究者や技術者など、それぞれの業務に必要な資料を探し、提供する仕事をしています。また、自然科学全般に関する広い知識を得るための一般書や雑誌、児童書も所蔵しています。

併せて、JAMSTECの職員が執筆した本なども収集しています。これらは、横浜研究所地球情報館にて一般開放もしています。(今は臨時休館中)」

今回は番外編として、JAMSTEC横浜研究所の図書館の中の人に小中高生のみなさんへのオススメの一冊を伺いました!さて、どんな本が飛び出すでしょうか。

学齢別に選んでみました

みなさん、こんにちは。
JAMSTEC横浜研究所にある図書館で司書を務めている長尾といいます。

今回は、JAMSTECが取り組む海と地球の研究分野についてできるだけ幅広く知ることができる本を、図書館員みんなで、学齢別に選定しました。

オトナの入口にいる中高生向けには最新の研究成果に踏み込んだ図書を、
生き物や研究船に関する本は低年齢の子向けに、それに、ちょっと変わった観点で手を動かす本1冊も選んでみました。
お気に入りの一冊が見つかればうれしいです。

小学校低学年むけ

いきもののずかんは、とにかくたくさんあって、どれをおすすめしようか、ひとりのおかあさんとしてもまようのですが、このほんは、よみやすさと、せいかくさで、ちいさなこどもたちにも(おおきなおとなたちにも)おすすめできるとおもっています。

小学館の図鑑 NEO『水の生物』新版

水の生物

ハカセになろう!せいぶつのしゅるいやからだのしくみ、とくちょうがこの1さつでわかります。

小学校中学年むけ

火山学者が子ども向けに「楽しく学んで噴火にそなえる」をキャッチフレーズに書いた1冊です。自宅おこもりで、家族とおかし作りというご家庭も多いのではないでしょうか。科学者の書いたおかし作りの本!?というユニークな視点で、読んでいて楽しくなる本です。親子のコミュニケーションにもおすすめだと思います。

『世界一おいしい火山の本 : チョコやココアで噴火実験』

林 信太郎(著)
発行:小峰書店

この本では火山のこわさもおしえつつ、火山のめぐみや火山のしくみのおもしろさをつたえてくれています。チョコレートやコーラなど、みぢかなお菓子をつかって火山やマグマのようすを分かりやすく知ることができます。楽しいふんかじっけんで、かぞくをおどろかせてみませんか?

小学校高学年むけ

「しんかい6500」と「ちきゅう」の本をペアで紹介します。絵がかわいいのですが、内容はかなり専門的です。JAMSTECの図書館に来館したメカ大好き、深海生物が大好きな小学校高学年生に積極的におすすめするのですが、こどもたちもさるもの、「持ってるも~ん」、「とっくに読んだ!」と返り討ちにあってヘコむ率もかなり高い本です。

『すごいぞ!「しんかい6500」 地球の中の宇宙、深海を探る』

すごいぞ「しんかい6500」
山本 省三(著)、 友永 たろ(絵)
発行:くもん出版

「しんかい6500」は、世界中の海で1500回以上の潜航を大きな事故なく行ってきた、世界に誇るJAMSTECの有人潜水調査船です。その魅力と秘密に迫る、楽しい本が出版されました!深海とはどのような場所なのか、人が直接行って調査することの難しさと意義、潜水調査船の歴史と未来について、小学生が楽しんで読めることを意識した山本省三さんのわかりやすいお話に、友永たろさんによるキュートなイラストがマッチしています。夏休みの読書感想文にもぴったりな1冊です。

『深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉
世界にほこる地球深部探査船の秘密』

深く、深く掘りすすめ!〈ちきゅう〉
山本 省三(著)、 友永 たろ(絵)
発行:くもん出版

誰も見たことがない地球の内部。海底の地 層を掘り進み、謎に挑む〈ちきゅう〉は、東日本大震災時の大津波の原因を調べたり、46万年前の微生物を発見したり、新たな資源について調査したり・・・と様々な分野で活躍中です。そんな船のエピソードや実際の掘削作業をかわいいイラストで解説。あなたも〈ちきゅう〉に乗ってみたくなる!

中学生むけ

シミュレーションに関する本は、JAMSTECのさまざまな研究分野の中でも特に難しい本が多い・・・という印象を持っていましたが、本書は最先端の研究成果を、研究者ではない人にもわかる言葉で、おもしろく読めるよう、丁寧に、工夫を込めて書かれていると思いました。読み通せるかなあと思いながら手に取った私は、ふんふんと、うなずきながら一気に読了してしまいました。難しい内容を、難しくなく書くのは、とても難しい。ぜひたくさんの人に読んでほしいと思う本です。

『シミュレート・ジ・アース 未来を予測する地球科学』

シミュレート・ジ・アース 未来を予測する地球科学
河宮 未知生(著/文)
発行:ベレ出版

シミュレーション、といえばコンピュータが気の遠くなるような計算をしているイメージですが、この本は一般読者レベルで、どのようなデータや法則を使って何を調べているのかが分かります。中には「人間に石油や石炭を燃やさせなかった地球」の気温などの興味深いシミュレーションも。地球科学に挑む研究の最前線が身近に感じられる、そんな一冊です。

高校生むけ

この本の著者、高井研さんのキャラ立ちっぷりをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、油断してはなりません!かなり難しい本だと思います。・・・でも、超先鋭の最新研究成果なんて、ちょっとワクワクしませんか?海と地球の研究者を目指したいと思っている高校生の皆さんに、ぜひともがんばって読んでほしいと思い、ご紹介します。

『生命の起源はどこまでわかったか : 深海と宇宙から迫る』

生命の起源はどこまでわかったか : 深海と宇宙から迫る
高井研(編)
発行:岩波書店

地球生命の起源の謎を深海底に求めた研究者が、なぜ宇宙に注目するのでしょう?本書では、生命起源の場を約40億年前の深海熱水活動域としたJAMSTECモデル、無機物からの生命誕生をめぐる研究、そして、深海と宇宙という両極端な領域の研究者がタッグを組んだ、地球外生命の可能性と探査に挑む 最新研究など、幅広く紹介しています。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
ぜひ興味のある一冊を手に取っていただき、海と地球の研究への一歩を踏み出していただければ嬉しいです。

JAMSTEC横浜研究所の図書館は、研究者や技術者に向けて科学文献や資料収集などの研究支援を行っています。

また、海洋や地球科学に関する資料を収集し、一般のみなさまにも公開している専門図書館です。

現在は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、休館していますが、またみなさんと笑顔で再会できる日を楽しみにしています。
それまでは、どうぞご安全に Stay Safe!

JAMSTEC横浜研究所 地球情報館 図書館

JAMSTEC横浜研究所 地球情報館 図書館
https://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/library/

今回の本は、JAMSTEC図書館が発行している
ニュースレター“JAMSTEC Library Communication”からご紹介しました。
おすすめしたい図書がほかにもたくさん!ぜひご覧ください。