2017年7月14日から9月14日の予測(7月19日発表)

黒潮は大きく蛇行した後、八丈島東付近を北上しています。小蛇行により九州東岸から四国で離岸しています。八丈島の南を流れる離岸流路が当面続くでしょう。長期的は九州東岸の小蛇行がどう動くかが注目点です。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年7月14日から9月14日の予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した7月14日と7月19日の黒潮の状態です。

黒潮は、大きな蛇行が発達しています(図1,2、離岸傾向v[1])(図1,2)。黒潮は八丈島の南を通った後、八丈島東付近を北上しています(図1,2)。黒潮の北上はS字型になってきています(図8も参照[2])。

九州東岸から四国にかけて大きめの離岸(小蛇行2[3]離岸傾向x)が存在しています。四国・足摺岬と室戸岬でも離岸しています(図2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した7月14日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 7月19日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5・図6は7月26日・8月2日・8月16日・9月14日の予測です。

東海沖の大きな蛇行(離岸傾向v)は、しばらく続きますが(図3)、しだいに規模が小さくなりそうです(図4,5)。

九州東岸の小蛇行(小蛇行2)が黒潮下流(東)への移動すると予測しています(図3~5)。小蛇行が通過する沿岸では流速の変動が大きくなります。長期的に小蛇行2が次の蛇行につながるかは現時点では不明です(図6)。

図7は、7月14日から9月14日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 7月26日の予測値。

 

Fig4

図4: 8月2日の予測値。

 

Fig5

図5: 8月16日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 

Fig6

図6: 9月14日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図7
2017年7月14日から9月14日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮の蛇行はどうなるか?

この欄では黒潮蛇行の発達の様子を検証していきます。注目ポイントは、1.蛇行はどこまで大きくなるか?2.蛇行がどこに位置するか?3.次の蛇行(小蛇行2)がいつ来るか?の3つです。

まず、蛇行の大きさですが、大きな蛇行を保っています。図8は7月12日と7月17日に「ひまわり8号」が観測した海面水温です[4]。7月12日も17日も温度が低いところが南に広がり(青矢印)、黒潮(温度の高い帯)は北緯32度(赤点線)のさらに南を蛇行しています。黒潮が北緯32度以南まで蛇行すると蛇行が大きいという目安になりますので[5]、蛇行は大きいです。

次に、蛇行の位置ですが、「ひまわり8号」海面水温を見ると、冷たい水温の海域が八丈島()まで広がり、黒潮が八丈島の南を流れていることがわかります。さらに紀伊半島では黒潮が接岸しています。典型的な黒潮大蛇行では、黒潮は八丈島の北を流れ紀伊半島で離岸しているので(2017/6/21号「2004年の黒潮大蛇行と今年(2017年)の比較」参照)、現在の大きな蛇行は典型的な黒潮大蛇行ではありません。そのため、典型的な大蛇行のように大きな蛇行が1年以上続く可能性は低くなっています。先週12日(図8上段)よりも、17日(図下段)のほうが黒潮の南下位置は東に移動し、黒潮は八丈島の東を北上ながらS字型に変形してきており、蛇行の形がくずれてきているように見えます。

ただし、九州東に存在している小蛇行2の存在に注意する必要があります。この小蛇行が黒潮下流(東)に移動してきて、今の黒潮の蛇行に加わって蛇行をさらに大きくしたり、別の大きな蛇行に発展する可能性があります[6]。とは言え、小蛇行2が近づいてくるのまだ先の話であり、今の蛇行を引き続き注意深く見ていきます。

図7:7月12日と7月17日に「ひまわり8号」で観測された海面水温。は八丈島の位置。白くなっているところは雲がかかって観測できなかった所。

  1. [1]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,w,,が接岸傾向で、青字v,x,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば離岸傾向xが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
  2. [2]S字型のため、図8を見ると房総半島付近で離岸していますが、図2ではうまく表現できていないようです。
  3. [3]現在の東海沖の離岸の元となった小蛇行と区別するために小蛇行2と呼んでいます。
  4. [4]ひまわり8号」の海面水温については、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照。JAXA提供の「ひまわり8号」海面水温データは、2016年8月31日からバージョン1.2にバージョンアップしています。鹿児島県水産技術開発センター和歌山水産試験場からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら
  5. [5]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html
  6. [6]2013年にも、2回蛇行が大きく発達して、2回目の蛇行は黒潮大蛇行の発生か?ということがありました。2013年の蛇行に関しては、2017/7/5号”2013年の「黒潮大蛇行」?”で解説しています。


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。