2017年9月22日から11月23日の予測(9月27日発表)

黒潮は、東海沖で大きく蛇行しています。東海沖の蛇行のために、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています。蛇行の東側から沿岸に黒潮から暖水が入りやすくなっています。九州東岸、四国・足摺岬では接岸しています。東海沖の蛇行は継続するでしょう。今後、典型的な黒潮大蛇行の流路になると予測しています。

JCOPE2の改良版であるJCOPE2M週2回の予測を行っています。ここでは2017年9月22日から11月23日までの予測を解説します。

現状

図1と図2はJCOPE2Mで計算した9月22日と9月27日の黒潮の状態です。

黒潮は東海沖で大きく離岸しています(図1,2、蛇行2[1])。この蛇行にともない、四国・室戸岬、紀伊半島・潮岬でも離岸しています蛇行2の東側から、東海沿岸にかけて西向きに暖水が入りやすい状況です(図1,2)。

房総半島沖では黒潮が離れていましたが(図1、離岸傾向t[2])、西から近づいています(接岸傾向w)。

九州東岸、四国・足摺岬では接岸しています(接岸傾向c, 図1,2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した9月22日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 9月27日の予測値。

 

予測

図3・図4・図5・図6は10月4日・10月11日・10月25日・11月23日の予測です。

黒潮は八丈島付近を南北に移動すると予測しています(図3~5)。東海沖の蛇行(蛇行2)は成長しながら継続しそうです(図3~5)。蛇行が大きく、紀伊半島・潮岬での離岸が継続し、八丈島の北を安定して流れるようになると、2004-2005年以来となる典型的な黒潮大蛇行の流路(図6)となります。気象庁も黒潮大蛇行になる可能性を指摘しています[3]。典型的な黒潮大蛇行になる可能性については次の節で詳しく見ています。

足摺岬では、小刻みな離岸・接岸がありながらも、接岸が基調になると予測しています(図3~6)。室戸岬では離岸が続きますが(図3~5)が、しだいに接岸しそうです(図6)。潮岬では離岸が続くと予測しています(図3~6)。房総半島沖では接岸・離岸と変化するでしょう(図3~6)。

図7は、9月22日から11月23日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 10月4日の予測値。

 

Fig4

図4: 10月11日の予測値。

 

Fig5

図5: 10月25日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 

Fig6

図6: 11月23日の予測値。接岸・離岸の記号は略。

 


図7
: 2017年9月22日から11月23日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮の蛇行はどうなるか?

この欄では黒潮蛇行の様子を検証していきます。図8上段と中段は9月8日と9月25日に「ひまわり8号」が観測した海面水温です[4]。黒潮は温度の高い帯として見えています。

図8下段にしめした図は典型的黒潮大蛇行になった場合のイメージです。蛇行が大きい紀伊半島・潮岬での離岸八丈島の北を安定して流れるといった特徴があります。典型的な大蛇行流路になると長期間持続しやすいとされています。特徴を一つずつ確認しましょう。

蛇行が大きいというのは北緯32度(赤点線)以南まで蛇行するというのが目安になります。[5]。9月25日(図8中段)でも黒潮は北緯32度近くを流れており蛇行は大きいですが、今月初旬の9月8日(図8上段)よりはやや蛇行が小さくなっています。蛇行がわずかに小さくなっていることは黒潮の蛇行に関する海上保安庁の発表[6]でも触れられています。予測(図3~図6)では、蛇行が大きく成長するのはこれからです。

紀伊半島・潮岬での離岸は続いています(図8上段、中段)。潮岬での離岸が続いていることは、今月の予測検証記事で見るように、串本・浦神の潮位差の観測でも確認できます。予測でも、潮岬での離岸は続きます(図3~図6)。

八丈島の北を安定して流れるという点に関しては、先週の予測に比べると、八丈島の南を流れるような予測になっているのは気になるところです(図3~図6)。海面水温で見ても、9月8日の段階では黒潮が八丈島(図の)の西を北上した後に八丈島の北を流れていたのに対し(図8上段)、8月25日の段階では水温の高い帯が八丈島をつつみこむように流れているように見えます。

ただし、今月の予測検証記事で見るように、八丈島や三宅島で観測されている水位には、黒潮が八丈島の南を流れるような兆候は現在のところ見られていません。また、今月の予測検証によると、黒潮が実際よりも八丈島の南を通ると予測する傾向が、最近のJCOPE2Mの予測にはあるようです。

以上のような点を考慮すると、典型的な黒潮大蛇行になる可能性は高そうです。

 

Fig8

図8:[上段]9月8日に「ひまわり8号」が観測した海面水温。は八丈島の位置。白くなっているところは雲がかかって観測できなかった所。[中段]同じく9月25日。[下段]典型的大蛇行になった場合の流れのイメージ。

 

  1. [1]以前、大きな蛇行が二つ存在していたので便宜的に蛇行2と呼んでいます
  2. [2]接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字u,w,,が接岸傾向で、青字t,v,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、あらためて記号を振り直したところもあります)、同じアルファベット、例えば離岸傾向xが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
  3. [3]臨時診断表 黒潮が東海沖で大きく離岸」(気象庁、2017/8/30)
  4. [4]「ひまわり8号」の海面水温はJAXA提供のデータです。2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照してください。鹿児島県水産技術開発センター和歌山水産試験場からも「ひまわり」の画像が公開されています。過去の「ひまわり8号」の水温データを使った解説一覧はこちら
  5. [5]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html
  6. [6]遠州灘南方において黒潮の流路を捉えました(9月7日観測)」(海上保安庁, 2017/8/21, pdf)。


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。