見通し(長期予測)
海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]で7月12日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。
親潮域に暖水渦(B)があり、親潮が南下しにくい状況です(図1) 。そのために例年より暖水が広がっています。黒潮続流(A)も例年に比べて北に偏っています(図5も参照)。気象庁が診断した親潮面積[2]を見ても、例年よりはるかに小さくなっています。去年も夏に0に近い値まで下がっていましたが、今年はさらに早い時期に0に近づいています。
今後は、黒潮続流の位置はやや南に下がってくると予測しています。暖水渦の影響も小さくなり、親潮が南下しやすくなる可能性があります。
日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くという予測です(C)。
図4は2023年7月12日から9月20日までの予測をアニメーションにしたものです。
図4: 図1に対応する2023年7月12日から9月20日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
今月のハイライト: 黒潮がいぜんとして北上
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト がリニューアル公開されました(「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」) 。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。
図5は、7月17日の「ひまわり」観測の海面水温と、モデルによる流れの推定です。黒潮(黒潮続流)は、先月に引き続き、いぜんとして異常に北上しており、岩手県沖ぐらいまで北上しています(A)。
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。