2023年10月2日までの黒潮「短期」予測 (2023年9月13日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 9月25日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年9月12日・9月23日・10月2日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

A、B、Cと流れるS字カーブの蛇行は現在でも大きいですが(図5参照)、さらに強まると予測しています(図1~3) 。

四国付近(D)では、黒潮が足摺岬に近づいています(図1) 。それがしばらく続く予測になっています(図2~3) 。

駿河湾や相模湾など水温が高くなっていますが、秋に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。

図4は9月12日午前9時から10月2日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年9月12日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年9月23日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年10月2日午前9時の予測値。


図4: 2023年9月12日午前9時から10月2日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 強い黒潮大蛇行のS字カーブ

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は9月13日の人工衛星「ひまわり」による海面水温観測値とモデルによる流れのの推定値です。

黒潮は流れは、大蛇行のため紀伊半島の南で南下した後、強いS字カーブを描いて北上している様子が見えます。黒潮は東海・関東沿岸近くを流れ、駿河湾・相模湾・東京湾の水温が高くなっています。

Fig5

図5:9月13日午前10時の人工衛星「ひまわり」による海面水温観測値(色)とモデルによる流速推定値(矢印、①で指定)。色の幅は25から30℃に設定した(②で指定)。