2024年7月8日までの黒潮「短期」予測 (2024年6月19日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは7月8日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した6月18日・6月28日・7月8日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。

A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが大きくなると予測しています(図1~3) 。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づいたりやや離れたりします(B-C) 。四国・足摺岬では黒潮が近くを流れそうです(E) (図1~3) 。室戸岬付近には黒潮から分岐した暖水が近づき(図1)、室戸岬と潮岬の間は時計回りの循環になっているようです(D)。

夏に向けて全体的に水温が上がっていきます。

図4は6月18日午前9時から7月8日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年6月18日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年6月28日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年7月8日午前9時の予測値。

 


図4: 2024年6月18日午前9時から7月8日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 黒潮大蛇行とクロロフィルa分布

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は6月15日の人工衛星「ひまわり」で観測されたクロロフィルa(プランクトン量の指標)です。沿岸の方がプランクトンに必要な栄養塩が多いので、一般に濃度が高くなっています。しかし、紀伊半島では、紀伊半島の東から続いて、紀伊半島の南の遠くまで、高い濃度のクロロフィルaが細長く伸びています。

図6は対応する6月15日のモデルによる流速の推定値です。黒潮大蛇行のために紀伊半島から南への流れが存在しています。この流れに流されて図5のようなクロロフィルaの分布になっていると考えられます。

Fig5

図5:6月15日1日平均の人工衛星「ひまわり」によるクロロフィルaの観測値(色, ①で指定)。色の幅は0.01から100mg/m3に設定した(②で指定)。

Fig5

図6:6月15日のモデルによる海面流速の推定値(矢印, ①で指定)。

 

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。