現在、黒潮は八丈島付近から北へ流路を変えつつあります。房総半島から黒潮が離れています。四国・足摺岬から室戸岬にかけて黒潮が近づいています。 伊豆諸島付近での接岸・離岸の変動は引き続き大きいでしょう。3月には八丈島の南を流れる離岸流路が発達すると予測しています。 |
現状
図1と図2はJCOPE2で計算した2月20日(※1)と2月26日の黒潮の状態です。離岸傾向d(※2)の伊豆諸島通過にともない黒潮が八丈島に近づいていましたが(図1)。接岸傾向eのために、八丈島の北に流路を変えつつあります(接岸流路, 図2)。
房総半島では、接岸傾向cにより黒潮が接岸していましたが(図1)、離岸傾向dにより黒潮が離れています(図2)。
大きな離岸傾向f(小蛇行)のため、紀伊半島・潮岬で黒潮が離岸しています(図1,2)。接岸傾向gにより、離岸していた四国・足摺岬(図1)で接岸し、室戸岬へ黒潮が近づきつつあります(図2)。
※1 予測開始時点(今回は2月20日)までの解析データを作成のために、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供している地球観測衛星「ひまわり8号」の海面水温データを、JAXAとの共同研究の成果として、今回の予測から取り入れています。「ひまわり8号」の海面水温データに関しては、2015/10/9号・気象衛星「ひまわり8号」で見た黒潮を参照してください。
※2 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットc,d,,,で図示しています。赤字c,e,,が接岸傾向で、青字d,f,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通)、同じアルファベット、例えば離岸傾向fが、上流から下流に移動していることをしめしています。
予測
図3と図4は3月18日と4月28日の予測です。
接岸・離岸の変動が大きく、その変動が黒潮の下流に移動すると予測しています(図1,2,3)。離岸傾向d(図1)、接岸傾向e(図2)、離岸傾向f(図3)と、黒潮の流路は大きく振れそうです。特に大きい離岸傾向f(小蛇行)をきっかけとして、3月から黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が発達し(図3)、継続すると予測しています(図4)。四国・足摺岬から紀伊半島・潮岬にかけての黒潮は、離岸傾向fの通過後は比較的岸近くを流れる見込みです(図3)。現在のところ、離岸傾向hは小さめだと予測しています。続く離岸傾向jは大きめで、3月後半から4月にかけて九州東岸から紀伊半島・潮岬を移動し(図3,4)、離岸を引き起こす可能性があり、次の注目点です。
図5は2月20日から4月28日までの予測をアニメーションにしたものです。
図5: 2月20日から4月28日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。