現在、黒潮は八丈島に近づいています。黒潮が四国・足摺岬と室戸岬で離岸し、紀伊半島・潮岬で接岸しています。房総半島で黒潮が離岸しています。 黒潮流路は八丈島の付近と北で変動すると予測しています。九州から紀伊半島にかけて、黒潮の離岸と接岸の繰り返しが大きくなってくるでしょう。 |
現状
図1と図2はJCOPE2で計算した3月26日と4月1日の黒潮の状態です。接岸傾向g(※1)により、黒潮が八丈島の北を流れる接岸流路でしたが(図1)、離岸傾向hの接近より、黒潮が八丈島に近づいています(図2)。
房総半島では、離岸傾向fの下流への移動により黒潮が一時的に離岸してますが(図1,2)、接岸傾向gにより、次第に接岸しつつあります(図2)。
離岸傾向jが下流に移動し、四国・足摺岬から(図1)、四国・室戸岬付近まで達している(図2)と推定されます(※2)。四国・潮岬では接岸しています(図2, 接岸傾向i)。
※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットe,f,,,で図示しています。赤字e,g,,が接岸傾向で、青字f,h,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通)、同じアルファベット、例えば離岸傾向jが、上流から下流に移動していることをしめしています。
※2 離岸傾向jの移動に関しては、2016/3/30「ちきゅう」のための海流予測 (4) 離岸傾向jは今どこに?で、観測を使って詳しく見ました。JCOPE2では観測ほどはっきりと離岸傾向jの移動が見えないようなので、今後の予測には注意が必要かもしれません。
予測
図3と図4は4月12日と6月2日の予測です。
伊豆諸島付近で、黒潮は八丈島付近を流れたり(図3)、北を流れたり(図4)と変動しますが、接岸流路傾向で推移しそうです。
離岸傾向j(図2)は大きめで、4月から5月にかけて下流に移動し(図3,4)、離岸を引き起こす可能性があり、注目点です(※3)。続く離岸傾向l、離岸傾向nも大きく(図4)、九州から紀伊半島にかけて、黒潮の離岸と接岸の繰り返しが大きくなりそうです。
図5は3月26日から6月2日までの予測をアニメーションにしたものです。
図5: 3月26日から6月2日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
※3 2016/3/28「ちきゅう」のための海流予測 (3) 3月28日現在の見通しも参照。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。