平成24年 8月 3日(金)
本日の海上は凪、天候は晴天ナリ。本航海一番の調査コンディションである。
本日も早朝より潜航調査を実施した。潜航開始後10分、水深約300m、すでに太陽の光は届かず暗闇が広がっていた。1時間後、水深約2000m、水温は摂氏2℃。暗い海中に白くフワフワしたマリンスノー(プランクトンの死骸など)が舞う。なるほどしんしんと降り注ぐ雪の夜のようで、実家がある東北の冬の夜を思い出した。潜航開始から2時間後、ライトに海底が照らし出された。水温は摂氏1.5℃、生物など存在しない無の空間のような印象。しかし観察開始後すぐその考えは一変した。海底にはナマコやエビ、イソギンチャクにソコダラと呼ばれる魚などなど、さまざまな生物が暮らしていた。しかもなかなかユーモラスで、ナマコは皆で集合し井戸端会議でもしているかのようだ。ソコダラはのんびり泳いでいて、YKDTの機器類に頭をぶつけていた。イソギンチャクはコロコロ転がりながら移動していた。深海底のなんとも不思議な光景はとても印象的であった。
日没の時間、次の海域へ向かう調査船にイルカの群れが寄ってきた。カマイルカとオキゴンドウの2種類いるようだった。我々に興味があるだろうか、彼らは集団で調査船に対し並走したり横切ったりとまるでじゃれるかのようであった。なんとも海を親しげに感じた一日であり、調査疲れも夕日と共に溶けていくようだった。
( by J.K )
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