※このコラムは、2026年1月23日に掲載した研究コラム、2026年4月17日に掲載した研究コラム、2026年5月28日に掲載した研究コラムの続編です。
現在、熱帯太平洋では強いエルニーニョ現象が発生中です。今夏にエルニーニョ現象が発生することについては、2026年1月時点の予測が的中したと言えます。一方で、その強さについては、予測はやや過小評価していました。また、予測されていた正のインド洋ダイポールモード現象は現時点では発生していません。北西太平洋における熱帯低気圧(台風を含む)の活動度については、現時点までは、平年に比べて約2倍強くなっており(コロラド州立大学調べ)、2026年5月時点の予測が、当たったと言えます。特に今月は日本やハワイなどで台風が大きな影響を与えました。
今後はどうなるのでしょうか? スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を使って、アプリケーションラボのSINTEX-F予測システムで計算したところ、今後もエルニーニョ現象が成長を続け、晩秋に過去最強クラスに成長すると予測しています(図1)。その後、冬まで持続し、2027年になると急速に衰退し始め、2027年の夏頃にはエルニーニョ現象が終息すると予測しています。
さらに、今年の秋の熱帯低気圧の存在頻度(注1)を計算したところ、日本の南東にあたる北西太平洋で熱帯低気圧の活動度が活発化することが予測されました(図2上)。ハワイなどでは台風による大きな影響が出るかもしれません。また、同地域で発生した熱帯低気圧が日本に接近する場合、暖かい海上を進む距離が長くなるため、非常に強く発達したり寿命が長くなったりする恐れがあります。一方で、この予測システムでは、日本近海での熱帯低気圧の活動度の予測について、夏に比べて、秋の方が、予測精度が低いことが分かっており、注意が必要です(詳細は、2025年4月3日プレスリリース)。なお、アプリケーションラボで開発している別の大気海洋結合モデルCFESを使った季節予測システムでも同様の予測がなされています(図2下)。予測の信頼性を高めるため、特性の異なる複数の数値モデルにより予測を行うマルチモデル予測が有効であることが知られています。世界の他の機関でも同様の予測がなされているようです(例えば、欧州ECMWF)。
今年同様に、過去最強クラスのエルニーニョが発生していた1997年や2015年の秋には、日本各地で記録的な豪雨の被害がありました。今後も熱帯、亜熱帯の海の状況から目が離せません。
注1:水平5度格子に、6時間毎に熱帯低気圧が存在している頻度(個数)を9-11月間で積算した値です。ここでは熱帯低気圧の活動が活発かどうかの指標として使いました。


