10月24日から11月21日の予測を検証します

毎月月末は過去1ヶ月の予測を検証する予定です。今回は10月30日号の10月24日から11月21日までの予測を検証します。

図1上段は、10月24日から予測した11月21日の黒潮の状態です。10月30日号では、黒潮が八丈島(図中の緑★)の南を流れる離岸流路が継続すると予測していました(図1上段)。実際には接岸傾向gの発達が予想よりも大きく、黒潮が八丈島の北を流れる接岸流路になっています(図1下段)。この予測と実際の違いについては11月13日号で詳しく解説しています。

図2は10月24日から11月21日までの予測値(上段)と現実(下段)の比較をアニメーションにしたものです。

Fig1

図1: [上段]10月24日から予測した11月21日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した11月21日の実際。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。緑★は八丈島の位置。アルファベットe,f,..は接岸・離岸傾向の波(今週号の現状・予測参照)。

 


図2: 2015年10月24日から11月21日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

kurokatsu

観測を確認してみましょう。過去の解説で(※1)、黒潮が離岸流路であるか接岸流路であるかは、八丈島と三宅島での海面高度(潮位)を見れば良いことを説明しました。それは、流れの強い黒潮をはさんで、本州に近い方は海面高度が低い、逆の沖側では海面高度が高いという関係があるからです(図1参照)。このため、黒潮が本州に近づいて島の北を流れれば、島周辺の海面高度は高くなります。逆に、黒潮が島の南を流れる離岸流路が発達すれば、島周辺の海面高度は低くなります。

図3は、過去の解説でも使用した、東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」から、八丈島と三宅島での海面高度(潮位)の今年の変化をグラフ作成したものです。11月13日号で解説したとおり、11月に入って、八丈島の潮位は上昇しています(図3上段)。また、11月13日号ではまだはっきりしてなかった、八丈島の北に位置する三宅島の潮位の上昇も見られます(図3下段)。これらのデータから黒潮は八丈島の北を流れる接岸流路になったと判断できます(※2)。

Fig3

図3: 東京大学大気海洋研究所「潮位データを用いた黒潮モニタリング」「各潮位データの図示」から、「期間: 2015年までの 1年間」で、「八丈島」(上段)「三宅島」(下段)でグラフ作成。単位はセンチメートル。矢印と字で注釈を追記した。

 

今後どう変化するでしょうか?11月13日号で詳しく解説したように、JCOPEは再び離岸流路が発達すると予測しています。そのシナリオは今週号の最新の予測でも変わっていません。八丈島と三宅島の海面高度の予測を見てみましょう(図4)。八丈島も三宅島も、海面高度が低下すると予測しています。すなわち離岸流路が発達すると予測しています。八丈島の海面高度低下の時期は、11月13日号(図3)の予測よりも遅くなっています。

八丈島に比べて、三宅島の海面高度の方が低下が若干遅れそうです。。今週号予測の図3のように、S字型の流路になるためです。S字型の流路になる時に三宅島の海面高度変化が遅れることは8月14日号で解説しました。

実際どうなるか今後注目です。

151127_Check4

図4: JCOPE2による海面高度の予測の10月1日以降の時系列。上段が八丈島周辺。下段が三宅島周辺。黒★は11月21日までの観測値を取り入れた推測値。赤線が11月21日からの予測。図3が1地点の観測値であるのに対し、図4の値はモデルの分解能の約9km四方の平均であり、0の値の基準点も違うので、図3と図4の値は完全には一致しません。上昇と下降の変化の傾向を主に見て下さい。

 


※1
1月の離岸流路発達と2月末の一時的な変化に関しては3月20日号
5月末の一時的な変化に関しては6月12日号
6-7月の接岸流路への変化に関しては7月10日号
8月の離岸流路への変化に関しては8月14日号8月28日号
11月の接岸流路への変化に関しては11月13日号
で解説しました。

※2
海上保安庁は、八丈島と三宅島の潮位データから、11月15日頃に八丈島の北を流れる流路になったと判断しています。
「本州南方の黒潮流路について」(2015.11.16)


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。