「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年3月17日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」では、先週の検証に引き続き、黒潮流軸が四国沖で離岸していく傾向がみられました。宮崎沖(日向灘)には時計回りの渦があるようです。

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」では、先週の検証に引き続き、黒潮大蛇行の先が南西向きに伸びていく傾向が続いていますが海洋速報流軸との違いは小さくなっています。

短期予測

今回は

2021年3月18日までの黒潮「短期」予測 (2021年3月10日発表)で示した予測結果にほぼ対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年3月10日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果(緑線)は黒潮大蛇行について海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。4日後の図2を見ると、黒潮大蛇行は変化がほとんどありませんが、九州南東沖の黒潮流軸は予測のほうが急速に南東方向に移動しています。

Fig2

図2 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年3月14日。左上の数字は予測開始日を示す。

九州南東沖で黒潮は大きく離岸しています。2021年3月18日までの黒潮「短期」予測 (2021年3月10日発表)の図を見ると、モデルでは日向灘で時計回りの渦が表現されています。図3は、宮崎県日向灘海洋短波レーダ海況情報表示システムの流況を示したものですが、時間的な変動は無視できないものの、日向灘で時計回りの渦があることを示しているように思います。

図3 宮崎県日向灘海洋短波レーダ海況情報表示システムより、流況の表示。左:2021年3月14日12時。右:2021年3月14日21時。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年4月23日までの黒潮「長期」予測(2021年2月18日発表)

2021年4月27日までの黒潮「長期」予測(2021年2月24日発表)

2021年5月5日までの黒潮「長期」予測(2021年3月3日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図4)。

図4 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年3月10日。右:2021年3月14日。左上の数字は予測開始日を示す。

予測された大蛇行の先は海洋速報よりも南西側にとびだすように伸びていますが、先週の検証に比べると海洋速報との違いは小さくなっています。東に向かいつつある九州南東沖の小蛇行の位置も予測できていました。