9月19日から10月24日の予測を検証します

毎月月末は過去1ヶ月の予測を検証する予定です。今回は9月25日号の9月19日から10月24日までの予測を検証します。

図1上段は、9月19日から予測した10月24日の黒潮の状態です。9月25日号では、黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が継続すると予測していました(図1上段)。その予測は現実とよく合っていました(図1下段)。

図2は9月24日から10月24日までの予測値(上段)と現実(下段)の比較をアニメーションにしたものです。9月25日号で、九州東岸から和歌山・潮岬までは小刻みに接岸と離岸を繰り返す時期になっていると予測していたとおり(上段)、小蛇行が大きく発達することはなく、黒潮が小さく離岸と接岸が繰り返しました(下段)。10月は房総半島で離岸するという9月25日号の予測(上段)も、合っていたと言えるでしょう(下段)。

一方、今回は大きく発達した小蛇行が無かったことから目立ちませんが、細かいところでは違いもありました。図1を見ると、下流に移動する接岸・離岸の波(アルファベットb,c, ….)は、予測が(図1上段)が実際(図1下段)に比べて、少しずつ遅れていました。

Fig2

図1: [上段]9月19日から予測した10月24日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した10月24日の実際。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。アルファベットb,c,..は接岸・離岸傾向の波(今週号の現状・予測参照)。

 


図2: 2015年9月19日から10月24日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。ク リックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

kurokatsu

黒潮の離岸流路が続いていることを観測で確認してみましょう。過去の解説で(※1)、黒潮が離岸流路であるか接岸流路であるかは、八丈島での海面高度(潮位)を見れば良いことを説明しました。それは、流れの強い黒潮をはさんで、本州に近い方は海面高度が低い、逆の沖側では海面高度が高いという関係があるからです(図1参照)。このため、黒潮が本州に近づいて島の北を流れれば、島周辺の海面高度は高くなります。逆に、黒潮が島の南を流れる離岸流路が発達すれば、島周辺の海面高度は低くなります。

では、観測を見てみましょう。図3は、過去の解説でも使用した、東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」から、八丈島での海面高度(潮位)の今年の変化をグラフ作成したものです。この図によると、八丈島の海面高度は、8月に離岸流路になった時に低下した後、10月になって黒潮が八丈島に近づくことにより(今週の現状参照)やや上昇しているものの、6-7月に接岸流路になった時のような大きな上昇は見せていません。黒潮の離岸流路がまだ続いている証拠です。JCOPEは離岸流路がまだ続くと予測しています(今週の予測参照)。

FIg3

図3: 東京大学大気海洋研究所「潮位データを用いた黒潮モニタリング」「各潮位データの図示」から、「期間: 2015年までの 1年間」で、「八丈島」でグラフ作成。単位はセンチメートル。矢印と字で注釈を追記した。

 


 

※1
1月の離岸流路発達と2月末の一時的な変化に関しては3月20日号
5月末の一時的な変化に関しては6月12日号
6-7月の接岸流路への変化に関しては7月10日号
8月の離岸流路への変化に関しては8月14日号8月28日号
で解説しました。