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25 Nov. 2015: Mirai

暫く更新が滞っていてすみません。(この文章を書いているのは27日です。) その場その時の大気や海洋の現象や状態は待ってくれず、その瞬間にデータを取 るしかありません。このため、観測プロジェクトの現場リーダーとしてはデータ 取得を優先せざるを得ず、こちらの仕事(ブログ更新)が疎かになってしまいまし た。読者の皆様(まだいらっしゃいますよね?)ごめんなさい。

……ということで、本日は、その瞬間にデータを取れ!のお話

こちらスマトラ沖定点に到着してからわずか数日で、これでもか!というく らい色々なパターンの雨雲に出くわしましたが、3日目にしていきなり「極めつ けのレアもの」に会いました。それが、写真で紹介している代物。「竜巻」です。 (写真提供は、以前にグリーンフラッシュの写真を提供していただいたのと同じ、 GODI観測技術員のSさん。)

刻は夕刻。船体上部の屋外(暴露部といいます)では多くの人が夕焼けに見と れていました。その時、何故か「室内にいた」Gさんが「竜巻出てるよ!」と外 の皆に。外で夕日に見とれていて、その横にあった竜巻に気づかなかったのは、 実はほとんどが大気の研究者だった……という笑い話はさておき、こんなチャン スは滅多にありません。しかもいつ消えてしまうかわからない現象。今すぐにデー タ取らなきゃ!

他の仕事は放り投げ、レーダー室にダッシュ。レーダーの観測モードを、通 常のものから、鉛直断面(構造をより細かく見るためにはこれが一番)をたくさん 観測できるモードに変更。外で見えていた雲がレーダー画像上でどれに当たるの かを同定。船橋(ブリッジ、船の操船をはじめ全般を司るところ)に連絡し、船の 構造物(マストなど)がレーダーの電波を遮らないように船首方位の変更を依頼。 そして雲の方向に鉛直断面を切るようレーダーの制御ソフトを設定し……

竜巻そのものは小さすぎてレーダーで観測することはなかなか難しいのです が、少なくとも竜巻を生むような雲「親雲」がどうなっているかを測ることはで きます。うまくいけば、竜巻そのものも捉えているかもしれません。データを詳 細に調べて「コレが……です!」というにはまだ時間が必要なのですが、そのう ちどこかでこの結果をご紹介できればな、思います。

海上で起こる竜巻は"Waterspout"(うぉーたーすぱうと)といいます。(すみま せん、日本語名を忘れちゃいました)。人間が沢山住んでる陸地と比べると海の 上での竜巻は目撃数は少なく、ましてや熱帯の海の上での観測事例はそう多くは ないと思います。「熱帯での」「海洋上での」「偏波レーダーでの観測事例」に 限定すれば、世界初になるかもしれませんね。なんとか報告にまとめたいところ です。

ちなみに私の目撃経験はこれで3回め。うち2回が「みらい」船上(熱帯海洋上) です。3回も見れば十分?でも、これだけ「みらい」に乗船して観測研究に携わっ てきた人間として、どちらも第一発見者ではないのが少々悔しく、その後、雲の 下をよく見るようになってしまった今日このごろです。

……ということで、このブログの更新が滞っているのは申し訳ないのですが、 そんなときは「コイツら今、どんな雲や風や海を見て忙しいんだろう?」と想像 を巡らせてくださると有り難いです。

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By MK