この記事では昨年2024年から今年3月までの黒潮の変化を3つのアニメーションで振り返ります。 |
流れと海面水位
1つめの動画は、黒潮長期予測でおなじみの図を、まとめたものです。
2024年は1年中黒潮が大蛇行していました。黒潮大蛇行の形は変化するものの途切れることはありませんでした。2025年になり2~3月にかけて、黒潮の南端から渦がちぎれましたが、黒潮大蛇行は続いています。今週の予測では、さらに渦がちぎれる予測になっています。これによって黒潮大蛇行がどのように影響を受けるか注目です。
アニメーション1: 2024年1月1日から2025年3月31日までの黒潮のアニメーション。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。●が八丈島の位置。黒太線は海面水位0.3mの等値線で、黒潮の流軸の指標。JCOPE2Mの解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
水深1000mの水温
2つめの動画は、水深1000mの水温を、1年間まとめたものです。
黒潮長期予測では、東海沖水深1000mの3.3°C以下の冷水の面積を黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標として注目しています(「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」)。JCOPE2Mにアップデートした時に水温の基準を3°Cから3.3°Cに変えています(「長期予測モデルJCOPE2Mをアップデート」) 。
図1が黒潮大蛇行が黒潮大蛇行が始まった2017年以降の時間変化です。黒潮大蛇行が始まった2017年夏以降は上下がありつつも大きな値が続いていました。しかし、2025年になって渦がちぎれたことにより値が急減しています。同じく渦がちぎれた2020年以来の落ち込みです(2020年に関しては2020年の黒潮をアニメーションで振り返るを参照)。2020年の時は、その後に黒潮大蛇行が回復しましたが、今回はどうなるでしょうか。
アニメーション2は、水温1000mの水温がどのように変化したかを見た物です。2024年に関しては、黒潮大蛇行の冷水面積が小さくなっっても、九州東に現れた冷水が黒潮大蛇行に合流し、黒潮大蛇行が回復するということが何度か起こっています。2025年になって渦のちぎれによって、冷水面積が小さくなっています。
アニメーション2: 2024年1月1日から2025年3月31日までの黒潮のアニメーション。カラーは温度(°C) 。黒太線は3.3°Cの等温線で、点線の枠線内の3.3°Cより冷たい海域の面積が黒潮大蛇行の渦の強さの指標。●が八丈島の位置。JCOPE2Mの解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。
流れと海面温度
3つめの動画は、短期予測用の高解像度予測モデルJCOPE-T DAの海面水温と流れです。JCOPE-T DAは1時間毎のデータがありますが、ここでは1日平均のアニメーションです。
夏は全面的に水温が上昇しており、黒潮と周辺の水温の区別がつきにくいですが、冬が近づいて水温が下がるにつれて、黒潮や黒潮大蛇行による冷水渦がはっきり見えるようになります。2024年は記録に高い水温でした。そのことについては後日に別記事で振り返ります。
アニメーション3: 2024年1月1日から2025年3月31日までの黒潮のアニメーション。色は海面水温(℃)。黒太線は海面水位0.3mの等値線で、黒潮の流軸の指標。JCOPE-T DAで計算した解析値(観測をとりこんで現実に近いと考えられる推測値)から作成。
関連記事
- 2024年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2022年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2020年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2019年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2018年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2017年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2016年の黒潮をアニメーションで振り返る
- 2015年をアニメーションで振り返る