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深海でキノコ狩り!?

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キノコが海の中に生える? 深海菌には可能性がいっぱい。

黒くて何かがにゅっと伸びている……まるでマスコットのような、これは一体なんでしょう?実はこの不思議なものは、なんと!深海キノコ「アリシア・ロンジコーラ」なのです。
「えっ? キノコって海の中、それも深海に生えるの?」と思うかもしれません。
キノコといっても、私たちが普段食べているようなキノコとはだいぶ違うのですが、深海にもキノコ(菌類の子実体が目に見えるような大きさになったもののこと)を作るような菌類がいることが少しずつわかってきています。

写真:深海キノコ
丸太を沈めて4年後に回収したところ、表面にびっしりとアリシア・ロンジコーラが生えているのが確認された。

アリシア・ロンジコーラは、まだ世界でたった2例しか発見されていない非常に貴重なもの。
厳密に言うと、キノコやカビ、酵母を含む「真菌」の一種です。
近年の研究により、アリシア・ロンジコーラはほかの浅海の海生菌類とは系統が離れており、深海に適応した深海独自の種かもしれない、ということが予想されています。

JAMSTECではアリシア・ロンジコーラのほかにも、さまざまな深海の真菌、「深海菌」を集めて研究しています。

写真
海中よりサンプリングされた堆積物や深海生物から分離された、さまざまな真菌を培養しているシャーレ。

これまで地上の真菌からは、非常に重要な物質が多く発見されてきました。
代表例は、感染症の治療に欠かせない存在であるペニシリン。
そのため、地上とは全く異なる環境に生息する深海菌から、新たな有用物質が発見されることが期待されています。
現在、深海由来の真菌からは抗酸化作用のある物質や、がん細胞に対する細胞毒性のある物質など、様々な新規化合物が発見されています。

深海の真菌には、まだまだ未知がいっぱい。
今後より研究が進めば、私たちの生活にも役立つ物質が発見される、大きな可能性を秘めた存在……それが深海菌なのです。

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