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海と地球の“深”知識

1億年以上、生き続ける生物が実在する。

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諸野 祐樹

JAMSTEC 超先鋭研究開発部門
高知コア研究所  地球微生物学研究グループ 主任研究員
2022年に著書『生物がすむ果てはどこだ? 海底よりさらに下の地底世界を探る』 (くもん出版)を上梓。

彼らは、南太平洋の白亜紀の地層から見つかった。

JAMSTECでは、海底のさらに下、つまり「海底下」を掘っています。そこで採取したサンプル(岩や砂・泥などの層)を持ち帰って研究するためです。

私たちが、サンプルの1つ、南太平洋の1億150万年前の地層を調べたところ、微生物を発見しました。といっても大きさは1000分の1ミリ。生きているかどうかすらわかりません。

そこで、泥の中にいる微生物たちにアミノ酸などのエサを与えて培養したところ、なんと、彼らがそれを食べ、さらには増殖を始めたことがわかりました!

海底下の微生物のイメージ。太古の地層の中に閉じ込められています。

1億年以上生き続ける、そのサバイバル能力とは?

驚いて何度も確かめましたが、間違いありません。彼らは、身動きもできない、栄養も酸素もほとんどない泥の隙間で、1億年以上も生き続けていたのです。微生物のサバイバル能力は、想像をはるかに超えるタフさでした。

私たちはこの研究成果を2020年に発表。世界的に大きな反響を呼びました。でも、いったい微生物たちは、どうやって1億年もの間、生き延びたのでしょうか。そこには、究極のエコライフがあるはずです。さらなる謎を追って、私たちの研究は続いています。

この微生物、危ないんじゃないかと心配する方もおられました。SF映画とは違い、海底下には人間の害になるような生物はいないと考えられています。
さらに実験室では細心の注意のもとに実験をしています。ご安心ください!

写真
培養した海底下の微生物が、エサのアミノ酸を活発に食べている様子!

ここが深知識!

1億年以上前の微生物が、現在も生きていて、
活動できることを実証した。
これは生物学の常識をくつがえす大発見!

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