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南海トラフゆっくり滑り断層観測監視計画

南海トラフ地震発生帯においては、マグニチュード8〜9級の巨大地震が繰り返し発生してきたことが知られています。昭和東南海・南海地震からおよそ80年が経過しており、次の巨大地震はそう遠くない将来に発生する可能性が高いとされています。この巨大地震は甚大な人的被害や経済的損失をもたらすと想定されており、そのために国や自治体において防災減災のための施策が進められています。海洋研究開発機構(JAMSTEC)では、この巨大地震に関連するとされる「ゆっくり滑り」(※)の検知に向けた技術開発や観測網の広域展開を進めています。

熊野灘の東南海地震震源域では、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて計3点の掘削孔を生成し、「ゆっくり滑り」も捉えることができる非常に高感度な観測センサーを各点から地震・津波観測監視システム(DONET1)に接続して海底地殻変動のリアルタイム観測を実施しています。また、南海トラフ西側の紀伊水道沖において光ファイバーひずみ計など最先端技術を導入した新型の観測センサーをDONET2に接続し、令和6年1月より観測を開始しました。

これらで得られたリアルタイムデータは気象庁などに提供され、「南海トラフ地震に関連する情報」(南海トラフ地震臨時情報等)の発出に資することが期待されています。また、本事業は政府が策定する「国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定)にも登録され、国や自治体等が進める防災減災対策等に対してその重要性が認められています。

今後は高知沖及び日向灘に新たな観測センサー設置を計画しており、南海トラフにおける「ゆっくり滑り」の観測・監視を強化していきます。

※「ゆっくり滑り」は、通常の地震のようにプレート境界などの断層が一気に滑るのではなく、数日から数か月かけて数ミリから数センチ程度、地震波を放射せずゆっくりと滑る現象のことを指します。2011年東北地方太平洋沖地震の前にもゆっくり滑りが発生していたことが明らかになっており、巨大地震との関連性が注目されています。また、「南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)」の発表条件の一つにも位置づけられています。

図1

図1:長期孔内観測システム整備状況(令和7年10月時点)

図2

図2:長期孔内観測システム概要

図3

図3:地球深部探査船「ちきゅう」で生成した掘削孔に「長期孔内観測システム」を埋設する。

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