new2025年の5大ニュース

黒潮親潮ウォッチでは2025年も様々なトピックを扱ってきました。2015年に始まった黒潮親潮ウォッチは10年間を超えて続いたことになります。2025年にはサイトのデザインの刷新も行いました。

黒潮親潮ウォッチの過去の記事一覧はこちら(リンク)で見ることができます。2025年の話題を5大ニュースとして振り返ります。

黒潮大蛇行終了とその余波

2017年から続いていた黒潮大蛇行は2025年に終息へと向かいました。2月と4月に大蛇行を支えていた冷水渦が相次いでちぎれ、蛇行が急速に縮小し「大蛇行」と呼べない状態になりました。2024〜25年初頭のアニメーションで冷水渦が急減して大蛇行が弱まっていく様子が視覚的に示され、海面下1000 mの水温データで渦の面積が急減したことを示しました。しかし、ちぎれた渦が西へ移動して黒潮に再吸収され新たな蛇行を作り、蛇行の余波が続きました。残った蛇行が再び大蛇行に発達する可能性もありました。この行方を巡って、紀伊半島への接岸・小さな蛇行の発達・ちぎれた渦の動きという3つの注目点や、「即復活」「復活」「再誕生」「完全終了」という4つのシナリオを紹介しました。結局、黒潮大蛇行は再開することなく、余波も11月にはほぼ消えました

親潮は冷たいが南下は限定的

1月の段階で黒潮続流が東北沖を極端に北上していましたが、暖水渦がちぎれることで4月にはそれほど北上しない状態になりました。黒潮続流からちぎれた形で暖水が存在し、水温は平年より高いままですが、以前ほどではなくなりました。

2025年後半の親潮ウォッチでは、親潮が平年より冷たいにもかかわらず、黒潮続流から分離した暖水渦が壁となり、沿岸への南下が妨げられていることを繰り返し報告しました。11月の記事では、親潮が強い一方で北海道南方の暖水渦が壁となって東北沿岸で高水温域が形成されていて、予測でも親潮は勢いがあるのに岸沿いでは南下しにくいとしています。9月の記事でも暖水渦A・Bや津軽暖流に起因する渦Cが親潮の南下を阻み、北海道〜東北太平洋沿岸の水温が高い状態が続いていると説明しました。10月の記事も親潮が沖合を南下する傾向が続き、沿岸では暖水渦に覆われて高水温が持続すると予測しています。

東北沖の調査航海

親潮に関連して、6月20日から7月4日にかけて海洋研究開発機構所有の東北海洋生態系調査研究船「新青丸」により、東北沖での調査航海が実施されました。筆者(美山)も乗船しました。東北・北海道沖の高海水温の形成メカニズムと、周辺気象および海洋低次生態系・物質循環への影響を調べるのが目的です。高海面水温は大気にも影響を与えています。そこで、海面水温前線域で海面水温の影響を受け変質する大気を3次元的に捉えるための集中的な大気観測も、三重大学練習船「勢水丸」と東京大学大気海洋研究所大槌沿岸センターと共同で行いました。

観測の様子についてこの記事にまとめられています。

2025年夏 三陸沖観測キャンペーン (ハビタブル日本)

今年も高水温

2025年の日本近海は過去3番目に水温が高い年でした夏から秋にかけて海洋熱波が広い範囲で続き、7月初めにはレベル2以上の海洋熱波が多発し、8月も多くの海域で高水温が持続しました。東シナ海や黄海、日本海では特に強い海洋熱波が続き、黒潮続流の高緯度への北上や北海道南の暖水渦が高水温を支えました。日本海の高水温が冬の大雪要因になる可能性も指摘しました。

高解像度1 km海中天気予報をJAXAひまわりモニタに公開

2025年3月27日、JAXAとJAMSTECは従来の約3 kmメッシュの海中天気予報(JCOPE‑T DA)を高解像度化した約1 kmメッシュ版(JCOPE‑T 1ks)をJAXAひまわりモニタで公開しました。新サイトでは日本周辺の海面温度・流速・塩分などを約1 km解像度・1時間ごとに表示し、数日先までの予報をより詳細に把握できるようになりました。新サイトでは海流ベクトルの間引き表示の改善やカラーバーの最小・最大値調整が可能で、従来の3 km版と並行運用される予定です。