【目次】
▶ 一生で数千㎞を回遊するウナギ
▶ JCOPE2で海流を再現し、ウナギに見立てた粒子の挙動を解析
▶ 日本や台湾にたどり着くシラスウナギが減少
▶ 原因のひとつは、海流変動
▶ 人に興味を持ってもらえる新発見をしたい
1993年から2013年までの20年間で、日本や台湾などの東アジアにたどり着くシラスウナギの数は減少していました。これは現実のシラスウナギの漁獲量減少と同じ傾向です。一方、北赤道海流から南側へ行く数は増えていることもシミュレーションからわかりました。
1993年と2010年のシミュレーション結果(動画)を見てみましょう。粒はシラスウナギの卵から始まる動きです。
動画 1993年(左)と2010年(右)の、ウナギにみたてた粒子が、マリアナ諸島沖で誕生してから東アジアにたどり着くまでのシミュレーション。色の違いは孵化エリアの違い。赤が南側、青が中央、緑が北側です。産卵場所は特定されていないので、不確実性をふまえて過去に卵が採取された海域をすべて入れてあります。
1993年(左)は粒が北上するのに対して、2010年は粒が北上しにくくなっているのが見て取れます。
解析期間の最初の5年(1993年~1997年)と最後の5年(2009~2013年)の平均を比べても、台湾や日本にたどり着くシラスウナギが減っていることがわかります(図5)。
はい、まさかこんなにはっきり違いが出ると予想していなかったので、私もびっくりしました。興奮して、すぐに宮澤泰正主任研究員(論文の第2著者)に報告しました。