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11 Nov. 2011: Mirai
11月11日(金)[定点12日目]「時計」
船内は時間に厳格だ。
理由は色々だ。定点観測の都合からは、できるだけ時間間隔が等しいデータが良い。計測や分析では、どの工程に何分、と決められている場合も多々ある。はたまた自分の当直の時間に遅刻したら前の時間帯の方が休みに入れず迷惑をかける。共同生活を快適にするため、例えば何時から何時はアレしてはいけない、というルールを守る必要もある。
ということで、船内には至るところに時計がある。甲板全体から見える大きな時計や、船全体で同期されておる時計、かと思えば普通の壁掛け時計、はたまたストップウォッチまで。
ストップウォッチで測っているのは、測器が周囲の環境になじんでより正確な周囲の状況を測定できるようになるまでの時間だ。短すぎると正確な値の測定や測器の動作に影響してくるし、長すぎると観測に時間がかかりすぎる。両立させるため、そして正確で均質なデータとする為に、必要十分な時間をストップウォッチを用いて測っている。
一方、2つの時計が並んでいる場所もある。これは、一つは船内時刻、もう一つは世界標準時(UTC)を示している。観測データは世界標準時で記録されるからだ。
理由は幾つかあるが、主には、他の観測データ(衛星データなど)と合わせ込む時に、皆が共通に使っているUTCに合わせた方が扱い易いためである。また、船という移動できるプラットフォームでは、移動にともなって船内時刻が変更になる。例えば時差調整で22時に1時間時計を遅らせたら、その日の22時10分という時刻は2回存在することになる。それをデータに記録するのは不都合なので、常に時間が等間隔で進行するUTCを使う。2つの時計があるのは、ややこしい面もあるが、便利でもある。
果たして本日は2011年11月11日。11時11分11秒、1並び!ということをとある乗船者から聞き、その写真を撮ろうとしたのだが、気づいたら既に11時半。しまった!とアタマを抱えたら
「あのぉ、それ船内時刻ですよね。船内の時計やデータ表示、UTCばっかりじゃないですか」
船内時刻は、現在、UTCより5時間早い。
果たして5時間後、UTCでのその瞬間は、無事写真に収められた。
こんなところでも、2つの時計があるのは、便利だったりする……かもしれない。
写真: 右上から時計回りに、
(右上) ストップウォッチ(右下赤丸)でCTD測器が安定作動するまでの時間を測定中
(右下) レーダー室にある2つの時計:船内時刻用(左)と世界標準時用(右)。
(左下) 右下写真撮影15分後のレーダー観測モニタ画面。データはUTCで表示・記録。
(左上) とある日時での、船内TVで流れている各種情報の画面の拡大。