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15 Nov. 2011: Mirai
11月15日(日)[定点16日目]「観測データ」
さてLeg-2も折り返し点ということで、ここまで取られたデータを少しご紹介。
図に示したのは、観測のうち、主な3つの観測機器からのデータである。全て横軸は時間(日付)で、左端がLeg-1の最初(9月30日)の00UTC、右端がLeg-2の最後(11月29日)の00UTCで、真ん中のグレーの部分は、Leg交替の為に定点を離れた期間だ。
一番上は、レーダーから得られた、高度別の雨雲の面積。レーダー反射強度10dBZ(*1)以上の部分を雨雲とみなしている。
これを見ると、Leg-1の最初の10日間は、高度10kmを超えるような背の高い雨雲が大きく広がっていたが、285日(10月11日)(*2)ころからそういった雨雲はパッタリと姿を現さなくなり、高度5km以下の背の低い雲がまばら、しかも時々しかない状態がLeg-1の間続いた。その後Leg-2になって、雨雲の面積や継続時間、そして高さも、徐々に成長してきている様子が伺える。
真ん中は、ラジオゾンデから得られた可降水量(*3)の時間変化。こちらも大きな雨雲が現れなくなった285日(10月11日)頃を境に急速に低下し、290日(10月16日)頃には35mmというカラカラの状態にまで落ち込んだ。その後、現在の50mm台後半の状態にまで、増減を繰り返しつつも徐々に増えてきているように見える。
そして一番下は、CTDから得られた、水温の鉛直分布の時間変化。海面に近い部分、即ち大気と直接接触する部分のみ抜き出してある。とりあえず315日(11月11日)までを見ると、海面から続く水温の高い層が徐々に深くなっていること、Leg-1の雨の多かった時期に高かった水温がその直後に低下し、その後は特に表面付近の数十mの部分で徐々に暖まって来ているように見える。
さてさて、これらのデータを見ると、10月半ばから現在までの1ヶ月間で、雨雲の背が高くなり、雨雲の材料である水蒸気量も増えてきて、その水蒸気量を大気に供給する海の表面部分も暖まってきている。ということは、全てが雨雲の更なる発達に好条件に変化しつつある、かのように見える
では今後はどうなるか?
CINDYプロジェクトで行われている幾つかの予報実験では、Leg-2終了前にMJOが来る可能性が示されている。観測データの流れがこのまま続けば、雨雲の更なる発達も期待できるかもしれない。しかし一つ気になるのは、ここ数日間に急激に変わった海の様子だ。深さ100mまでの層全体で水温が下がっている。この変化が大気とどう影響し合うのか。今後の観測データの推移から目が離せないところだ。
(*1)レーダーの電波が目標物によって反射される割合のこと。10dBZは、雨の強さに換算すると、1時間あたり約0.15mm。
(*2) 1月1日を「1日」、12月31日(閏年じゃない年)を「365日」とした、その年の最初からの日数。日数が月別に違うと扱いが不便なので、こういう日数の数え方をする(場合がある)。
(*3) ある地点の水蒸気量を、地上から上空まで鉛直方向に全て合計した量のこと。単位は、これを全て雨として全て降らせてしまった場合の雨量として表す。
図: 「みらい」観測パラメータの時間変化。全て横軸は時間(日付)で、左端がLeg-1の最初(9月30日)の00UTC、右端がLeg-2の最後(11月29日)の00UTC。真ん中のグレーの部分は、Leg交替の為に定点を離れた期間。上から順番に、
(上) ドップラーレーダーから得られた、10dBZ以上の降水エコーの面積の高度分布。「みらい」を中心とした、200km四方の領域について計算。
(中) ラジオゾンデから得られた、鉛直積算水蒸気量(可降水量)。
(下) CTD観測から得られた水温の鉛直分布。深度120mまでの部分のみ抜粋。