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■MISMO 集中観測 日報

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10月24日(火)

「みらい」

"ブイ設置とセンサー交換"

晴れ、夜一時雨
終日5m/s以下の西風、海も穏やか


観測概況:

午前8時より、北緯1度30分、東経80度30分にて、ADCP係留系 (音響式流向・流速計)の設置作業。作業終了はシンカーレッコ が9時36分、着底後、位置確認作業の終了が10時12分。
その後、僅かに東に移動して、アトラスブイの気象センサー交換 作業を実施。実際気象センサーはすべて切り取られていたので、 正しくは、交換ではなく取り付けに近い。11時10分作業開始、 12時丁度に作業完了。
周囲に積雲、雄大積雲が発達する。 14時過ぎから赤道付近に東北東−西南西に沿って形成された 降水システムが発達を続け、レーダーエコーでは最大で48dBZ 以上となる。
ラジオゾンデ観測他、継続中。


コメント:

キャプテンの「今日も安全第一で行きましょう」の挨拶でADCP設置 作業がスタートする。デッキ上ではチョッサー(一等航海士、船では チーフオフィサーを略してそう呼ぶ)を中心に、ボースン(甲板長)以 下船員と観測技術員、担当研究者がそれぞれの持ち場に着く。 ADCP係留系はセンサーが埋め込まれたフロート部分から降ろし始 め、最後にシンカー(錘)を落とす。昨日の海底地形調査で決定した 地点にシンカーを着地させるためには、風、潮の流れ、ロープ長など を考慮に入れながら、微速で前進を基本に船をコントロールしながら 進められていく。投入前の設計、デッキでの作業、船の操船、すべて がうまく噛み合って4500mを超える海底の目標点にシンカーを着底 させ、フロート部分を海面から300m下のポイントに浮かべることがで きる。ADCP係留系は係留系作業の中では比較的簡単な部類と言わ れる。これはセンサー部がトップとボトムにしかなく、ほとんどがロープ だけであるためだが、実際には少し違う。簡単なのではなく、それ以 上の技術と安全に対する認識が船員や技術員に根付いているから、 ”簡単にやっているように見える”のである。
ADCP設置が終了するなり、早速数マイル離れたアトラスブイの地点 に移動する。このアトラスブイを展開している米国NOAAの研究所 PMEL(Pacific Marine Environmental Laboratory)から情報を得ていた ことと、昨日、近くを航行中に目視点検を実施しているので、対策は できていた。ブイでの作業を行うため、船員3名、観測技術員2名、 研究者1名の計6名が作業艇に乗り込む。ブイに乗り移った観測技 術員2名はとても元気。船(ブイ)酔いなどの気配もない。 手際よく新しく持ち込んだセンサーを取り付けた。 「もっとブイで作業する」と申し出て、切り取られたケーブル類をきれい に養生までした。”タフ”である。

写真1:ADCPブイ設置作業開始。中央部の橙色の球形状のものが ADCPを埋め込んだフロート。
写真2:ブイの投入作業をモニターで見守りながら操船作業を行う ブリッジでの風景。
写真3:投入も終盤を迎え、回収時に浮きの役割をするガラス球(黄 色)、リリーサー(音響式切り離し装置)、シンカーがデッキ中央部に 並ぶ。
写真4:すべて投入後、約30分程でシンカーが海底に着地。船から 音響信号を出し、最終的な着地点を計測している。
写真5:アトラスブイの気象センサー交換のため、作業艇に乗りブイ に向う。
写真6:ブイの上での作業風景。”ブイライダー”は船とは比べもの にならない揺れの環境下で、指先程の細かい作業までこなす。 係留系を専門とする観測技術員がその任務を遂行した。