■MISMO 集中観測 日報
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10月25日(水)
「みらい」
"m-TRITON設置"
晴れ、夜小雨
周囲に積雲、高積雲、雄大積雲が広がる
観測概況:
各種連続観測継続。
午前7時半より東経79度の赤道上にm-TRITONブイの設置作業。
11時過ぎシンカーレッコ、11時38分着底確認。
その後、比較検定のため水深500mまでCTDを実施。
午後2時よりADCP係留系の設置。15時30分シンカーレッコ、16時
着底確認。
再度、m-TRITONブイの海域にてCTDを500mまで実施。
コメント:
手元の時計で午前7時33分、いよいよインド洋小型トライトンブイ
(m-TRITON)の初めての外洋での設置が始まる。デッキでは
いつものように円陣が組まれ、安全を確認しあって持ち場に。
フロート直下の索具、ケーブルがまず投入され、引き続きフロート
本体が投入される。Aフレームクレーンの下で、横たわっていた
姿勢を起こし、左右からの振れ止めロープでバランスをとりながら
ゆっくり海面に降ろされる。この間、約15分。
フロート投入後、2-3ノットの微速で前進、フロートが少しずつ
遠ざかる。フロートの下には500mのワイヤーロープが続く。
このワイヤーロープには、計14箇所に水温、塩分、圧力などの
センサーが取り付けられている。今回は、今後のための基礎
データ取得の意味もあり、取り付けているセンサーの数がやや
多い。ロープを繰り出しては、一定間隔を置いて、センサーが
取り付けられてゆく。終日、気温は28度を下回り、そこにただ
立っているだけならば、とても暑いという感じではない。しかし、
作業着の上にライフジャケットを身につけ黙々と作業を続ける
船員、観測技術員の汗は止まらない。
500mのワイヤーロープの投入が完了すると、続いて延々とナイ
ロンロープが続く。今回の設置海域の深度は約4800mだが、
m-TRITONはスラック係留と呼ばれ、深度よりも長い(約1.4倍)
ロープで係留することにより、強い潮の流れのときに抵抗せず
むしろ流される形で抵抗を軽減し、結果としてある範囲内の定点
内に維持される構造になっている。このためケーブル長も全体
で約6000mと非常に長い。作業開始から3時間30分後、ようやく
最下部のガラス球、音響式切り離し装置、シンカーの投入段階
となる。11時13分、シンカーレッコ、11時38分にシンカーの着底
を確認し、設置を無事完了させた。(写真1−6)
m-TRITONブイの設置は本航海の主ミッションの1つであるが、
展開だけが目的ではなく、観測網の1拠点であり、観測の終わり
ではない。定点観測に出来る限りの時間を見出すために、昼食
休憩だけで、ADCP係留系の設置を行う。
長い係留系作業の一日。
そして、このような係留系の作業が実施されている間も、他の
研究者はそれぞれの観測を実施する。
定点集中観測はまだこれからである。