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■MISMO 集中観測 日報

2006年10月
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11月11日(土)

「みらい」

"赤道渦?"

晴れ
南の風 5m/s   波高 1.6m


観測概況:

船内時間の04時30分開始のCTDをもって、3時間毎のローテーション観測は終了し、以後はCTDだけは6時間毎(+13時30分の1日5回)となる。 代わりに、午前・午後の7時30分に左舷より海面付近のCO2観測を実施(写真1、2)。
午前11時、水蒸気・オゾンゾンデ観測。
午後2時過ぎ、ビデオゾンデ観測。
朝のCO2観測途中、左舷上空に雲が渦状に分布していることを発見(写真3)。 その後、目視観測を続ける。目撃情報によれば、目視で最初に確認できたのは 08時頃、写真3は08時34分、北緯0度00.00分、東経80度28.57分の場所で、や や南東方向に確認しており、赤道直上を中心とし、(上空から見て)時計回り、 つまり南半球における低気圧性循環をしていることが確認できる。その後、中 心部分の渦状は認識が難しくなるが、全体として発達を続け、ドップラーレー ダーにもかかるエコーが出始め(図1、東経80度30−50分、南緯0度20分付近 の弧状エコー)、100km以上の規模であったことがわかる。この後も成長し、 やがて南側のエコーは強い降水帯となり、正午頃にはその存在が不明瞭になる。 直前に放球したラジオゾンデデータによると下層にシアーが見られ、要因の一 つと考えられるが、今後詳細に解析を実施する予定である。


コメント:

前述にあるように赤道にこれだけ明瞭な渦が見られることは珍しい。一般に赤 道は地球の自転による回転の効果がなく(*)渦が観測されづらいが、今回は まさに赤道直下(上)で確認された。3時間毎のラジオゾンデ観測、連続取得 を行っている一般海上気象データなどそろっており、今後の解析が非常に楽し みである。
また、午後には「みらい」の南東で発達した雲群に対してビデオゾンデ観測を 実施したが、その際、前方には海面に非常に近いところに明瞭な虹が現われ (写真5)、こちらもめったに見られない現象である。
この他、今日は土曜日ということもあり、各種行事が重なった。 船首のアルベドブームを利用した観測装置のメンテやデータ吸出し作業、船の 非常警報など機器の点検作業、第6回船内セミナーの開催(写真5)。今日の セミナーの話題は海面水温分布の特徴やアルゴフロートを用いた研究の紹介で あった。

*この自転の効果を"コリオリの力"と呼び、地球が東向きに回転しているこ とが原因で、動いているものに対して北半球では右向きに、南半球では左向き に "みかけ" の力が働き、渦のように回転させる効果がある。このコリオリ力 は緯度に依存し、赤道では"0"になるため、渦が発生しづらい。台風が赤道 付近に発生しないのはこれが原因である。