English

北極フロンティア2023 「北へ」

2023217

地球環境部門 北極環境変動総合研究センター
木村元

 2023年1月30日から2月2日にノルウェーのトロムソで北極フロンティア2023(Arctic Frontiers 2023)が開催されました。トロムソは、北緯69度に位置する北極圏の中心都市の一つです。北極評議会(Arctic Council)の事務局やノルウェー北極大学(UiT, The Arctic University of Norway)があり、北極の政治や学術研究の中心地になっています。

 北極フロンティアは、毎年トロムソで開催される国際会議で、政府関係者、先住民、ビジネス関係者、研究者が集まり、北極が直面する喫緊の課題について議論が行われます。特に、若者(youth)や先住民の声が多く取り上げられるのが特徴です。今年の会議のテーマは、「北へ(Moving North)」で、ウクライナ問題が北極に及ぼす影響、北極のエネルギー・シフト、北極の環境変化などについて活発なパネルディスカッションがいくつも行われました。

 北極フロンティアの会期中、トロムソにノルウェーの砕氷研究船クロンプリンス・ホーコン(RV Kronprins Haakon)が寄港していました(トロムソはこの研究船の母港です)。一日目の1月28日には、「北極海での国際協力:社会的ニーズに応える観測と科学」というサイドイベントがクロンプリンス・ホーコンの船内で開催され、私もこのサイドイベントに参加するために乗船することができました。このイベントでは、国際的な北極研究プロジェクトが現在どのように進んでいるか、また、将来どのような共同研究や技術開発が予定されているかが報告され、多くの研究プロジェクトが存在する(「ジャングル」と表現する方もいました)なかで、どの研究プロジェクトと連携するかを検討するにはどうすればよいのか、継続的な研究資金を得るためにはどうすればよいのか、研究プロジェクトのなかで先住民と協力にはどうすればよいのかなどの点について意見交換が行われました。

船内の廊下には海洋生物やプランクトンの絵が展示されており、とても明るい雰囲気です。イベントが行われたオーディトリアムは、船内とは思えない、まるで映画館のような作りでした。

(参考)
北極フロンティアのウェブサイト(英語)
クロンプリンス・ホーコンのウェブサイト(英語)

PAGE TOP