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「みらいⅡ」建造工程 ロケ撮影の裏側

2024830

北極域研究船推進部
広報チーム

みなさんこんにちは、北極域研究船推進部の広報チームです。
「みらいⅡ」の建造は、来年3月の進水に向け着々と進んでおります。今しか撮影できない建造の様子を収めるため、今年の4月からジャパン マリンユナイテッド株式会社の横浜事業所 磯子工場(以下 JMU)にて、既に数回ロケ撮影を実施しています。 

今回のブログでは、8月6日に実施したロケ撮影の様子を、広報チームの担当者目線でみなさんにご紹介したいと思います。

集合時間は8時20分(ちなみにJMUさんの始業時間は8時です)。8時頃に駐車場に到着したところ、JMUの社員の方たちが続々と屋外に出ていらっしゃいました。何事かと思いキョロキョロしていたところ、おもむろに放送が流れ始め、皆さんストレッチを始められました。ラジオ体操は既に以前のロケでも拝見していましたが、ラジオ体操前のストレッチは初見です。事務担当とお見受けする方たちも一緒に体操をされており、JMUさんの日常を垣間見ることができて朝から楽しい気持ちになりました。 

その後、集合場所の会議室にて、今後の撮影に備え、JMUの安全衛生のご担当から、「安全衛生教育」という、工場内の安全に関するレクチャーを受けました。今回、撮影を担当してくださる会社のご担当と、我々広報チームで受講しました。どんな業種でも安全衛生は基礎となる大切なことですが、当然ながら造船所という仕事柄、より一層の対策や心構えが必要であることが改めてよく分かりました。そして以下のとおり、工場内での服装に関するレクチャーがありました。

・長袖着用
・安全帽をかぶり、あごひもをしっかり締める
・安全靴を着用する
・保護メガネを着用する
・(服装ではないですが)ポケットに手を突っ込まない

そう、もちろん長袖です。(当日の横浜市の最高気温32.8℃)
長袖と言ってもここで言う長袖は「作業着の長袖」なので、まあまあ厚手です。

安全衛生講習を受けた後は、いよいよロケ撮影の開始です。綺麗に用意してくださった工場内指定の装備に着替えます。

本日の目玉は「水切り」と呼ばれる小型船からの鋼材搬入の撮影です。4月にはステンレスクラッド鋼の搬入の様子も撮影しましたが、その際はトレーラーでの搬入でした。今回撮影する「水切り」は、大きなサイズの鋼材も運搬が可能な、船による輸送方法です。

小型船が着岸する予定の桟橋では、事前にどこにカメラを置くか、どの角度でどのように撮影するか等、話し合いが行われます。

しばらくすると、鋼材を載せたボートが小型船にけん引され、桟橋に入ってきました。                                

その後、鋼材は電磁石の力を利用したクレーンで船から持ち上げられ、台車の上に次々と載せられていきます。

7枚くらいの鋼材を載せ終わると台車が動き出し、鋼材ヤードに運び込みます。

輸送台車は、前と後ろに運転席が付いている特殊な車両です。事前に輸送台車の動きを確認した上で、またカメラをどこに置くかなど、相談して決めます。

この水切りの撮影にはなかなか時間がかかってしまいました。まだ10時台でしたが既に暑く、同行してくださっていた、我々に安全衛生の講習をしてくださった方が、熱中症対策の塩タブレットを振舞ってくださいました。さすが安全衛生のご担当です。

色んな味がありました。私はコーラ味を頂きました。

無事に水切りの撮影も終え、次は鋼材加工の様子を収めるため、屋内の工場である内業工場に移動します。まずは、鋼材をプラズマ切断する様子を撮影します。
ちなみに、屋外で撮影しているだけであれば作業着の腕まくりも出来ますが、この内業工場内では安全のため腕まくりは禁止です。

プラズマの位置が低めなので、ローアングルで撮影するなど工夫をされていました。プラズマによる切断は非常に明るい光が発生しますので、遠目で保護メガネをしていても長い時間直視しないようアドバイスを受けました。

開先切断された鋼材

その後、開先切断作業と呼ばれる切断後の鋼材のエッジ部にどうしても発生してしまうギザギザの部分(バリ)を除去する作業も撮影しました。

ここでの開先切断作業は、主に、鋼材同士を溶接する際にきっちりと精密に接合できるようにする目的で行うということでした。

その後、もともとの撮影予定にはなかったので当然ですが、鋼材加工の工程の中でも特にバエる「ぎょう鉄」作業、一旦は今日はやっていないと伺ったのですが、急遽「撮影できるよ!」と言われ、運良く撮影させて頂くことが出来ました。ぎょう鉄とは、ガスバーナーで鋼板を焼いて膨張させ、水で冷やして曲げていくという、熱膨張と収縮を利用した、熟練の技術を必要とする作業です。どこをどのぐらい焼けばどう曲がるか、経験から判断して作業する必要があります。
まず、どのように曲げていくのか、設計図を基に製作した木型で確認をします。

その後、曲がった鋼材の上に難なく椅子を置いて腰を下ろし、右手にガスバーナー、左手にホースを持ち、作業を始められました。

前から
横から
撮影クルーに囲まれるお兄さん

かっこいいですね。黒い保護メガネもかっこよさを演出しています。特にこの作業は動画で見て頂いた方がかっこよさが伝わると思うので、ぜひ動画の公開を楽しみにしていてください。

 

 

曲げのガイドになるたくさんの木型

そんなこんなで、これらの撮影をしていたら昼近くになってしまいました。12時になると、この内業工場の奥にある食堂と売店をめがけて皆さんがどっと押し寄せるため撮影が難しくなります。そのため、お昼前に終わらせようと急いで撮影を終えました。

撮影を終えて部屋に戻った後、撮影クルーの方の一人が「服、絞れるよ!!!」と叫んでいたのが印象的でした。私も眉毛が片方無くなりました。一同、JMUの方が用意してくださった冷たいレモンティーを一気飲みして、一息つくことが出来ました。

このような感じで、2026年11月予定の引き渡しまで、皆さんに貴重な建造の様子をお届けできるよう、猛暑にも寒さにも負けずに撮影を頑張っていきたいと思います。

ここで撮影した動画は、SNSでの発信や動画コンテンツの制作(「みらいⅡ」のキャラクター化もあるよ)などで活用していきますので、ぜひJAMSTEC公式のXアカウントや我々のホームページで最新情報をチェックしてください!

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