JAMSTEC横須賀本部 施設一般公開2024 開催のご報告
2024年5月31日
北極域研究船推進部
広報チーム
JAMSTECの活動を皆様に知って頂くことを目的として例年開催している、JAMSTEC横須賀本部の施設一般公開を2024年5月18日(土)に開催いたしました。
前回(2023年10月開催)は、コロナ禍のため4年ぶりの開催となりましたが、今回は前回から約半年という短いスパンでの開催となりました。
そのような短いスパンにはなりましたが、「みらいⅡ」は今ちょうど建造が本格化し、新情報がどんどん増えておりますので、前回には無かった新しい展示も行いました。
今回の主な展示内容は以下の通りです。
(1)3Dの船殻モデル(船の骨格・外郭を3Dで表した画像データ)の展示
(2)一般配置図(船の設計図)の展示
(3)本船に使用するステンレスクラッド鋼と同種の鋼材の展示(触って頂けるもの)
(4)ステンレスクラッド鋼納入~加工の様子を撮影した動画の上映
(5)最新・北斗七星バージョンのロゴをあしらったパンフレットとステッカーの配布
(6)「みらい」模型と「みらいⅡ」模型の展示
(7)そのほか各種パネル、動画の展示
今回のブログでは、残念ながら当日展示ブースにお越しいただけなかった方のために、(1)~(5)の展示物について簡単にご紹介したいと思います。
(1)3Dの船殻モデル(船の骨格・外郭を3Dで表示した画像データ)
こちらは「みらいⅡ」の構造を立体的に表示できる(船の外側だけでなく中も)画像データで、我らが建造チームのメンバーがこのモデルを操作し、角度を変えたり、お見せする階層を変えたり、拡大したりしながら、来場者の方に詳しい説明をさせて頂くという展示でした。
船にあまり詳しくない初心者の方から、造船業界関係者のお詳しい方まで対応できるスタッフで臨みましたので、きっとご満足いただけたのではないかと考えております。
(2)一般配置図(船の設計図)
こちらはその名の通りの船の設計図です。階層別に、各装置や部屋が所狭しと描いてあります。97名の乗船者の個室と充実した研究・観測区画などが見事に収められており、設計者のご苦労が想像できます。
これまでは、「みらいⅡ」のCGの外観や、主な観測機能しか公開していませんでしたが、この展示では先の(1)と併せて「みらいⅡ」の中身がどうなっているのか、主な観測機能以外にどんな装置や部屋があるのか、詳しく見ることが出来るようになっています。
まるで新築する家の間取り図を見るような気分で楽しく見て頂けたのではないかと思います。
また、この一般配置図には既に「作業艇・しろくま」も名前入りで記載されていて、実際に船名を「しろくま」で応募されたという方も楽しんで見てくださっていました。
(3)本船に使用するステンレスクラッド鋼と同種の鋼材
今回の一般公開の全体テーマが、「体験できるもの」ということもあり、「みらいⅡ」の1つの特徴であるステンレスクラッド鋼の実物サンプルを展示し、触って頂けるようにしました。本船に使われている鋼材の一部、というわけではありませんが、同じ鋼種で、厚さも実際に本船に使われているものと同じステンレスクラッド鋼です。
が、このサンプル、想定以上に角が鋭利で、お客様に怪我をさせてはいけないと、前日設営の際にメンバーで慌ててテープを貼り、保護をしました。
また大きさの割に非常に重いため、持った方々から「重い!!」という感想を多くいただきました。
このステンレスクラッド鋼は、主に氷と接触する船首や喫水付近に適用されており、氷海域を航行する「みらいⅡ」の特徴のひとつです。
当日使用した鋼材サンプルの解説パネルを以下リンクからもご覧頂けるようにしましたので、ぜひ興味のある方はご覧になってみてください。なぜ「みらいⅡ」にステンレスクラッド鋼が使われているかなどの解説が書いてあります。
(4)ステンレスクラッド鋼加工の動画
一般公開は5月18日でしたが、その一ヶ月弱前の4月23日にJMU磯子工場で撮影した動画を展示ブースにて上映、またニコニコ生放送のお昼休みの時間帯にも上映しました。ステンレスクラッド鋼納入から、その後の様々な加工の様子を収めた5分程度の動画です。
中でも、鋼材の立体的なカーブを機械だけで作ることは難しいため、職人の手作業による「ぎょう鉄」(鋼板の表面に加熱と冷却を加え、熱膨張と収縮により鋼板内部に生じる応力を利用して鋼板を湾曲させ曲面を作っていく技術)の曲げ加工は見所です。
トレーラーでの鋼材の納入は朝イチの8時に行われるため、撮影業者さんと我々スタッフは7時に現地入りしました。その結果、工場の方たちの貴重なラジオ体操風景も見ることが出来たのは良い思い出です。会社さんによってオリジナルの体操もあったりするそうですが、JMUさんはオーソドックスなラジオ体操でした。
話が逸れてしまいましたが、こちらの動画は近日中にJAMSTECのYouTubeチャンネルでも公開予定ですのでお楽しみに!
(後日追記)
→という予定でおりましたが、諸事情により本動画はYouTubeにはアップしないこととなりました。楽しみにしてくださっていた皆さま、誠に申し訳ございません。
また今後の建造工程の動画をお待ちいただければ幸いです。
(5)最新、北斗七星ロゴバージョンのパンフレットとステッカー
前回の一般公開ではまだ船名が決まっていなかったため、名前無しのステッカーを配布しましたが、今回は「みらいⅡ」の名前を入れ、さらに船名として多くご応募いただいた「ほくと」にちなんで北斗七星をあしらった新ステッカーとパンフレット(小さくて分かりづらいですが、タイトルのNEXTの隣にロゴマークがあります)を配布しました。
ステッカーを見たお客様から「かわいい」というありがたいお言葉も頂戴し、作った側としてはとても嬉しく思いました。今後はこのロゴを使ってグッズも展開していきたい、、、と考えていますのでどうぞ楽しみにしていてください!
というわけで、今回はこのように盛りだくさんの展示となりましたので、北極域研究船推進部のスタッフほぼ総出で臨みました。
その甲斐あってか、特に3D船殻モデルや一般配置図では、長い時間を取ってじっくり展示をご覧頂けた方が多かったように思います。
普段の仕事では、皆さまと接する機会はありませんので、皆さんが興味深げに展示をご覧になっている姿を見ることは、我々にとってとても新鮮で楽しく、また直接ポジティブなお言葉も多く頂戴し、お陰様でパワーをたくさん頂くことが出来ました。今回ブースにお立ち寄り頂いた皆さま、大変ありがとうございました。
(ちなみに、昨年の展示で皆さんが書いてくださった応援メッセージはオフィスに持ち帰り、大事に当部の部長の背後に飾ってあります。たまに部長が眺めているようです。)
今後、2026年11月予定の引渡しまでの間、どんどん「みらいⅡ」の建造は進んでいきますので、その様子はこちらのWebサイトやSNS等でお伝えしていきます。ぜひ進捗を見守って頂ければ幸いです。
これからも「みらいⅡ」の応援をどうぞよろしくお願い致します!