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進水直前!「みらいⅡ」建造状況(北極域研究船の建造状況Ⅶ)

2025312

北極域研究船推進部
建造チームとCOMAI先生

みなさんこんにちは、北極域研究船推進部建造チーム(とCOMAI)です。
早いもので、2025年が始まったと思ったら2月が終わり3月になりました。春の不安定な天候や花粉などなどありますが、みなさん元気にお過ごしでしょうか。

さて、いよいよ「みらいⅡ」進水まであと1週間となりました!
「みらいⅡ」は、3月19日(水)に、ジャパン マリンユナイテッド(株)横浜事業所磯子工場で進水を迎えます。
進水に向けて塗装などが急ピッチで進められているようですが、今回は3月初旬の姿を中心にお届けいたします。

まずはご挨拶(つーちゃんに内緒で定期)

今月もまずは建造ドックの全景から。前回のブログでは、船橋をはじめまだまだ建造ドックにブロックが並んでおりましたが、搭載工事の進捗が約99%ということで、残すところヘリコプターデッキ関係(写真手前側)のブロックのみとなっています(3月7日時点)。
進水式では、建造ドックに注水後、ドックの手前側まで船を移動させて、その周囲に関係者や来賓が整列するステージやテントが設けられるとのこと、今から当日が楽しみです。
一般には公開されませんが、進水後に動画等の公開を予定しておりますので、皆さんもぜひお楽しみにお待ちください。

 

船体のアップです。天気が不安定な中、降雨時を回避しつつ塗装が急ピッチで進められています。天気と睨めっこしながら作業を進めているJMUのみなさんには感謝を。
それにしても朝日が眩しい…

次は船尾側から。「みらいⅡ」は、白い船体が基本のJAMSTEC船舶では少々異例な青い船体ですので、文字標示は白にしました。船尾や船央のクレーン類は、「みらい」と同じ(あるいは極力近い)色を選択、まだ搭載されていませんが、AフレームクレーンはJAMSTEC伝統の青になります。「みらい」との差異で言えば、船首のマストが白というところでしょうか(船体色バランスを考慮して白にしました)。

船央クレーンをアップ。右隣りに、非常時に天然ガスを排出(ベント)するためのポストも見えます。

続いて船上に潜入(船上は3月3日に撮影しましたが、雪降っています。寒い!)
こちらはCTD区画にあるムーンプールです。船底まで一直線、4m×4mの正方形の開口部になりますので、覗いてみると、その深さになかなかドキドキしました…。

ムーンプールの写真奥に、縦に2本のレール状の部材(H鋼)が並んでいますが、このレールに専用カーソル(右写真)を設置し、これを上下に動かしてCTD採水装置の投入揚収を行います。
JAMSTECでは、このような使用目的のムーンプールの設置・運用は初めてですので、(特に氷海域での)安全かつ効率的なCTDの運用方法など、実作業に向けた検討を本格的に進めていくことが必要と認識しています。

E甲板(ヘリコプター管制室横)から後部観測甲板を眺めてみます。高い。
船尾クレーンは左右舷に1基ずつ搭載しますが、右舷(写真だと左)のクレーンでは、人が乗り込めるアルミ製のバスケットを吊り下げて、海氷上での作業が可能な仕様にしています。そのため、クレーン本体の標示に「マンライディング」時のSWLも記載されています。


左舷船橋ウイングからの眺めです。奥に見える縦に2枚設置された長方形の床窓からは、海(氷)面まで障害物なく見える設計ですが、中の人は高所が苦手なので果たして眺めることができるかどうか…。

最後に足回りを少しご案内。
2軸2舵の舵板が設置され、プロペラは養生されていますね。
舵板の後ろに下向きに角のような構造がありますが、これはアイスナイフと呼ばれる、後進時に氷片などで舵が損傷しないよう保護するための構造です。砕氷船ならではの構造ではないでしょうか。

プロペラ羽の形状はギャラリーに写真がありますので、ご興味があればぜひご覧ください。

最近閉じている(=格納状態)ことが多い昇降旋回スラスターですが、

3月3日はスラスターが降りていましたので、下から中を覗かせていただきました。
電気的な腐食を防ぐために貼られているアノード(上に見える長方形の銀色の板)は、一般的な商船などと比べて大きく数が多いそうです。

さて、今回はそろそろこの辺で。
冒頭申し上げたとおり、3月19日に「みらいⅡ」は進水を迎えます。進水に向けて、3月12日から1週間、JAMSTEC公式SNSで進水カウントダウンを行っていますので、日替わりのイラストや画像をぜひご覧ください。また、カウントダウン最終日向けに特別編集した動画も準備していますので、こちらもぜひお楽しみに!

最後に宣伝を兼ねて、今後の「みらいⅡと行こう!北極調査隊」のリリース予定など。

  •  第一弾(本編第1話) : 2024年11月1日に公開(中)!
  •  第二弾(建造速報①): 2025年  5月ごろ公開
  •  第三弾(本編第2話) : 2025年11月ごろ公開
  •  第四弾(建造速報②): 2026年  4月ごろ公開
  •  第五弾(本編第3話) : 2026年12月ごろ公開

「本編」は調査隊キッズも登場するフルメニュー、「建造速報」はVTR中心の短尺の番組となります。
こちらもどうぞお楽しみに。

進水を迎えるにあたりちょっと一言失礼いたします。
中の人は、2016年ごろの「北極域研究船」検討開始時から携わっていますので、ここまで8~9年ほどになります。引渡し時には10年になると思えば、一層感慨深いものがあります。
「みらいⅡ」は進水後岸壁での艤装工事が続きますが、言うまでもなく船は引渡し後の運用期間の方が長期に渡りますし、船主としてはそこからが本番とも言えます。
中の人がいつまで携わるか分かりませんが、関わる限りは微力を尽くしてまいりますので、引き続きみなさんには「みらいⅡ」の応援をお願いいたします。 

それではまた来月!(多分)

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