HAKURO×COMAI先生「北極調査隊」特別対談
2025年11月6日
北極調査隊第2話の公開を記念(?)して、「つーちゃん」や「COMAI先生」のキャラクターデザインを手掛けてくださったHAKUROさん(https://x.com/Ha96)とCOMAI先生(https://x.com/ARV_MR2_COMAI)が対談いたしました。
〇対談のおおよそのお題目
- JAMSTECに関心を持ったきっかけは?
- 「みらいⅡ」(つーちゃん)のキャラクターデザイン依頼に対する率直な感想
- つーちゃんのデザインイメージやコンセプト
- つーちゃんやCOMAI先生、みらいさんを使って今後やってみたいこと
- ファンへの一言、北極調査隊コンテンツへの期待など
それでは、「北極調査隊」特別対談スタート!
COMAI先生:
HAKUROさん、お忙しいところありがとうございます。
今日はよろしくお願いいたします。
HAKUROさんはデンシタコなど、宇宙や深海を調査する疑似的なロボットをデザインされたり、あるいはソフビなどを製作する造形作家といった活動をされていると思います。
そういったデザインあるいは造形的な興味のなかで、JAMSTECにもご関心をお持ちになったのかなとも勝手に想像していますが、実際のところきっかけとしては何かあったのでしょうか?
HAKURO:
私は佐賀県の内陸側の出身で海が身近にあったとかではないんですが、昔から魚などの水棲生物が好きで、近くの川でよく川魚を捕まえて観察していました。図鑑も眺めたりしていて、大人になるにつれて海にも興味が湧いてきたという感じです。インターネットが使えるようになってJAMSTECを知って、深海などにも興味を持っていったという流れですね。
COMAI先生:
なるほど、じゃあ入り口は魚で、しかもどちらかというと淡水ということですね。
HAKURO:
そうですね。最初は淡水魚ぐらいしか身近にいなかったんですけど、図鑑などで海の魚も眺めていましたので、海の魚に興味が湧いてきて好きになっていきました。
COMAI先生 :
つまりは、その延長線上で、JAMSTECを発見していただいたと。
HAKURO:
はい、科学館とか博物館も好きで、よく小さい時に家族に連れて行ってもらいました。九州なので直接JAMSTECさんの展示や公開などを見る機会はなかったんですけど、いつだったか、展示の一角にチラッとJAMSTECのお名前があったりして、それで記憶に刷り込まれていたということもあるかもしれません。
COMAI先生:
実際関西方面や九州方面での広報の機会が少ないと思います。JAMSTECの研究船や探査機は西日本生まれが多いのですが、西日本側は寄港する機会が少ないという側面もあるかもしれません。個人的にはちょっとその辺りは課題かなと思っています。
実は私も、もともと魚から入って、淡水だけじゃなく海も含めてなんですが、図鑑で深海魚の写真提供をしていたのがJAMSTEC(※当時は海洋科学技術センター)だったんですね。そこからJAMSTECに興味を持って、大学でたまたま求人広告(※四半世紀前です)を見つけて試験受けたら採用されてしまった…という流れなので、魚から入ったというあたりに親近感を持ちました。
HAKURO:
今年の横須賀本部一般公開でのライブ配信でも流れていたと思うんですが、2013年に「しんかい6500」の潜航のライブ配信をニコニコ生放送でやってたんです。私はそれをリアルタイムで見ていまして、それを見てやっぱりすごいなと思って、それで東京の国立科学博物館でやっていた深海展(※2013年の国立科学博物館特別展「深海」)も見に行ったりしました。
COMAI先生:
わざわざ上京されたんですね。おっと、もうこの話だけで時間切れになってしまいそうなので、いったん次に行きたいと思います。もともとJAMSTECにご関心があったという背景をお持ちの上で、「みらいⅡ」のキャラクターデザインのオファーを受けたということになると思うのですが、この声掛けがあった時の率直な感想をお伺いできますか?
HAKURO:
以前、あるフィギュアメーカーさんと「今後の目標などあるか?」というような話をしたときにも、JAMSTECさんとお仕事をやりたいというようなことをずっと言ってきたので。
COMAI先生:
有言実行!
HAKURO:
はい、ずっと憧れていたのでまさか現実にお話をいただけるとはと。とても嬉しかったです。大変光栄に思っております。
COMAI先生:
こちらがHAKUROさんをどこで発見したかというと、日ノ元重工が製造している探査ロボットたちというストーリーがきっかけで。実は最初「みらいⅡ」のキャラクターは日ノ元重工製という設定で行こうかと、私の方で勝手に妄想をしていました。そういうことができたら面白いなと思いまして。こちらとしてはオファーを受けてくださって本当にありがたいという感謝の気持ちでいっぱいですね。
さて、「つーちゃん」は、色々な検討の結果(?)「北極調査隊」のナビゲーター兼マスコットといった立ち位置になったわけですが、デザインやコンセプトなど、HAKUROさん側のイメージをお伺いできますか。
HAKURO:
キャラクターに「みらいⅡ」の特徴的なものを取り込んで、見た目からも船自体のことを少しでも知ってもらえるようなキャラクターを目指してデザインしました。あとは子供から大人の方まで親しみやすさを意識してみました。
COMAI先生:
直近(※対談は9月時点)では、北極調査隊第2話用のCGカットを現在制作会社で作ってもらっていて、それは「つーちゃん」と第2話に登場してもらう「みらいさん」のCGカットなんですが、私のやっている「COMAI先生とみらいⅡ」(https://x.com/ARV_MR2_COMAI)でポストしたら、やっぱり可愛いっていう反応がありました。もともとJAMSTECに関心があった方たちだけでなく、HAKUROさんのファンの方たちもけっこう見てくださってるのかなと思います。これまでJAMSTECを知らなかった方たちにも、「つーちゃん」や「COMAI先生」を通して知っていただけたということで、今回HAKROさんにキャラクターをデザインしていただいて、そういった面でも本当によかったなと思っています。
HAKURO:
そう言っていただけて大変光栄です。ありがとうございます。
COMAI先生:
一般公開などでも、「つーちゃん」を見てお子さんたちが「可愛い」と言ってくれて、可愛いというところから入って、そこからこのキャラクターは何なのかというのを深掘りしてくれたりするので、そういった船自体への入り口が作れたというのは非常にありがたいと思っています。
ところで、HAKUROさんのキャラクターといえば「丸眉」だと思いますが、何かこだわりはありますか?
HAKURO:
全体的にちょっと丸みのある優しいデザインがすごく好きで。なんですかね?気付いた時には全部眉毛が丸かったです。
COMAI先生:
ご自身の好みを集約していったらそうなった。
HAKURO:
そうなっちゃったって感じなんですけど、何でなんですかね。
COMAI先生:
本能的に丸さを求めている。
HAKURO:
やっぱり丸みが好きっていうところがあるんですかね。
COMAI先生:
XでHAKUROさんの画像をポストする時にはハッシュタグをつけているんですが、#HAKUROでどんなものがヒットするのか見てみたら、けっこう以前のイラストのポストがあって、それも全部丸くてやっぱりそこは一貫しているんだなと思いました。
HAKURO:
変えてくれと言われない限りは、大体丸めで丸眉のキャラクターを描いちゃうことが多いですね。
COMAI先生:
なるほど。デザインイメージやコンセプトということでもう一つお伺いしたくて、今度は第2話で「みらいさん」が登場する予定ですが、「みらいさん」のイメージや、デザインのコンセプトで意識したことはありますか?
HAKURO:
「つーちゃん」は新しい船ということでちょっと幼い感じに対して、やっぱりお姉さん的なキャラクターなのかなというところで、しっかり者みたいなイメージというか、お姉さん的なキャラクターにしようという意識はありましたね。
COMAI先生:
その辺はキャラクターデザインにも現れていると思います。第2話映像での仕草ですが、驚いている表情とか笑っている表情とか、「つーちゃん」の無邪気さと「みらいさん」の大人な感じをこちらもけっこう意識してキャラクターを動かそうとしています。視聴者の皆さまにはその辺りも注目してもらえるといいかなと思っています。
次のトピックスですが、HAKUROさんが今後これらのキャラクターを使ってやってみたいことはありますか?
HAKURO:
そうですね、技術的にどうなのかなと思うところもあるんですが、フィギュア、やっぱり立体物っていうのは作ってみたい気持ちはありますね。
COMAI先生:
立体物の製作は、個人的にはなんとか実現したいところです。先日Xでもポストとしたとおり、まずは「みらいⅡ」のプラモデル化から着手です。
ところで、イラストやキャラクターデザインというようなお仕事が多いと思いますが、オリジナルでデザインされているキャラクターについては、割とご自身でも立体物を製作されている印象です。ご自身でデザインされたオリジナルキャラクターの場合は、ある程度立体化というところまでが一つのサイクルみたいな意識はされているのでしょうか?
HAKURO:
ソフビを作る場合は、自分が原型も作ったりはするのですが、例えば、メーカーさんのフィギュアなどは、私が作った作品を元にメーカーさん側で原型を作り直していただいたりしています。自分が作ったデザインでも、満足できる立体化ができるかっていうのは、けっこう難しいところもあったりします。
COMAI先生:
例えばデンシタコは、立体化するために描いたという感じなのか、描いたキャラクターを立体化したら面白そうだなぁという感じで結果的に立体化したのか、どちらなものでしょうか?
HAKURO:
デンシタコの場合は、立体化のために描きおこした感じですね。
COMAI先生:
なるほど。
HAKURO:
ソフビ製作を前提にする場合、デザイン側の制約みたいなのもあったりするので、そのへんをちょっと考慮してますね。
COMAI先生:
具体的には、デザインのどのあたりに現れているのでしょうか?
HAKURO:
そうですね。日本のソフビの成型方法として標準的な「スラッシュ成型」では、金型から引き抜いて作る形なので、ソフビは金型から抜けるサイズと形状のものでしか作れません。例えば、パーツ数をできるだけ少なくして作る場合、人型で首の細いところから頭の大きい部分を抜くっていうのは難しくなるので、人型にするなら首は太い方が良くて、私のソフビの場合は首を太く見せたくないので首元を隠すために襟部分があるようなデザインになっていたりする、という感じです。
COMAI先生:
なるほど。つーちゃんにも襟がありますね。
HAKURO:
「つーちゃん」のような襟の形状は私のデザインの特徴の一つかと思いますが、一般的に、首を細くするとそのためにパーツを分ける必要が生じたりするので、少ないパーツ数に収まるようデザインを工夫している、といったところです。
COMAI先生:
なるほど、そういうことを考えながらデンシタコなどはデザインされたということですね。パーツを少なくするとか、金型から抜きやすくするとか、そういうあたりを意識されているということなのですが、その点では「つーちゃん」はいかがでしょうか?
HAKURO:
うーん…けっこう大変かもしれないですね。多分、フィギュアだったらいいのかもしれないですけど、ソフビだとそこそこ分割する必要がありそうな気がします。フィギュアだと作り方が変わるのですが、スラッシュ成型のソフビだと分割数はけっこう多くなっちゃうのかなという印象ですね。
COMAI先生:
なるほど、面白いですね。COMAI先生もちょっと難しそうですね。
HAKURO:
そうですね。例えば、細い部分を体にくっつけたりして、ポーズを変えたりすればなんとかいけるかもしれません。細いところが多いとなかなか難しいかもしれないです。
COMAI先生:
確かに「つーちゃん」のツインテールの毛先なんか、なかなかハードル高そうですね。ドップラーレーダーも。私は無邪気にソフビにできたら面白いんじゃないかと思ってるんですが、そんなに単純じゃないぞっていう。
HAKURO:
体にくっつけたりしてパーツを減らすこともできるので、ポーズを変えればいけそうな気がします。
COMAI先生:
もしかしたら、最初からソフビ前提で「みらいⅡ」のキャラクターをデザインしてくださいという依頼だったら、この「つーちゃん」ではなかったという可能性があると。
HAKURO:
かもしれないですね。でも、やっぱり全体のバランスを考えると、その前提は無しで考えた方がかわいいキャラクターにはなるのかなと思います。
COMAI先生:
そんな感じがしますね。結果的に、キャラクターありきの依頼で間違いなかったようで良かったです。結局キャラクターをどう動かしたいか、どう使いたいかっていうことかなと思いました。勉強になりました。
ところで、「つーちゃん」は北極調査隊のメインキャラクターとしてボイス(※CVは井澤美香子さんhttps://x.com/izawamikako)も込みで動いてもらっていますが、「つーちゃん」の動かし方や、あるいはコンテンツの中身のことでもいいんですが、何かそのあたりへの期待やコメントなどはありますか?
HAKURO:
そうですね、今、完成に向かっていっている船を、建造の段階からいろいろ知ることができるコンテンツですごいと思います。貴重な映像だなと私が見ていても思いますし、本当にたくさんの人に見てもらえたらいいなと。それから、自分がデザインしたキャラクターが動いてしゃべっているのを見られるのはすごく嬉しいですね。
COMAI先生:
たくさんの人に、は我々もPRを頑張らなければいけないですね。
「つーちゃん」も「COMAI先生」も、セリフはけっこう私の方で書いていたりするんですが、「何そんなこと言わせてんだ」とか無いですか?
HAKURO:
えっ、全然ないですね。なんかもう命が宿ってるなぁって思いながら見てます。
COMAI先生:
「つーちゃん」は、これから成長していくというコンセプトなのでそれを意識してセリフを作っていますね。コンテンツの中では、COMAI先生が解説役で「つーちゃん」がそれに反応しながら、あるいは「つーちゃん」からCOMAI先生に問いかけてやりとりするというのが基本的な進行になるのですが、COMAIのキャラクターがそういう役割になると事前に想像してらっしゃいましたか?
HAKURO:
掛け合いみたいな感じはあるのかなっていうのは予想していましたが、COMAIのキャラクターが先生になって教えていくっていうのは、最初は全然そういうのは想定してなかったです。でも、実際そうなって見ていると、すごく分かりやすいし入りやすくて、「つーちゃん」側と一緒になって、いろいろ共感できるところがあったりするので、この役割分担をした掛け合いっていうのはすごくいいなと思いながら、拝見させてもらっています。
COMAI先生:
勝手に(?)先生にしてしまったので申し訳ないです。
HAKURO:
バッチリだと思ってます。
COMAI先生:
ただ、先生にしたまでは良かったんですが、自分が声までやるとは思っていなかったので、そこは誤算でした。ですので、今日は生みの親にお詫びをしたかったというか。
HAKURO:
いえいえ、すぐに回答が飛んでくるので分かりやすくて、バッチリ適役だなと思っております。
COMAI先生:
お恥ずかしい。なんか無理に言っていただいてなければよいですが…。
HAKURO:
(笑)
COMAI先生:
今日は9月なんですが、第2話のシナリオは大体できていて、第1話と基本的な構成は変わらず、今回は「みらいからみらいⅡへ」というテーマで制作する予定です。セリフは、「みらいさん」にどう振る舞ってもらうかというのを意識しながら書いてみました。その辺はぜひ視聴者の皆さまにも注目してもらえたらと考えています。
HAKURO:
はい、私も拝見するのが楽しみです。視聴者としてワクワクして待っております。
COMAI先生:
プラモデル化の話に戻るのですが、視聴者あるいはファン目線で、こういうのを入れてくれたら嬉しいとか、そういうのはありますか?
HAKURO:
そうですね、船と一緒にCOMAIだったり、探査機も一緒につけてもらえたりしたらすごく嬉しいなぁというのはあります。
COMAI先生:
なるほど、記憶しておきます。プラモデルも、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
では、最後になりますが、ファンへの一言ということで、HAKUROさんご自身のファンに、「つーちゃん」や「COMAI先生」、「みらいさん」のデザインという観点からでもけっこうですし、もっと一般的なことでもけっこうなのですが、一言をお願いして対談の締めにしたいと思います。
HAKURO:
JAMSTECさんとお仕事をさせて頂くのは、私の長年の夢だったんですが、こうやってJAMSTECさんの目に留まっていただけたのも、いつも応援してくださっている皆さまのおかげでもあると思います。ですので、いつも応援してくださっている皆さまに感謝をお伝えしたいです。また、私のことを知っていても、JAMSTECさんのことを知らないという方もいらっしゃると思いますので、これをきっかけの一つとして知っていただけると嬉しいなと思います。
COMAI先生:
「つーちゃん」と「COMAI先生」のデザイナーであるHAKUROさんを、僭越ながら、ファンの皆さまには引き続き応援していただければとCOMAI先生の中の人も思っております。もちろん、私も個人的にも応援させていただきます。
HAKURO:
キャラクターとお船の方をぜひぜひ応援していただけたら嬉しいです。
COMAI先生:
ぜひセットで応援してくださいという感じですね。今、建造中というのが前提になっているんですが、就航したら「つーちゃん」や「COMAI先生」はどうなるのか?ということもつらつら考え始めていて。就航後、どう活躍してもらおうかというのが今後の検討課題というふうに思っています。皆さまに可愛いと言ってもらえるようなキャラクターなので、建造の終了とともに活動を終了させるようなことの無いよう、就航後も「つーちゃん」や「COMAI先生」をどう活躍させるかはしっかり考えていきたいと思ってます。
HAKUROさん、今日は本当にありがとうございました。
HAKURO:
ありがとうございました。第2話楽しみにしています。
(おしまい)
「みらいⅡと行こう!北極調査隊」の詳細はコチラ
https://www.jamstec.go.jp/parv/j/event/hokkyokuchousatai.html
北極調査隊第2話は明日11/7(金)17時公開予定です。どうぞお楽しみに!
